夢みたいな現実。32 ページ32
前田が部屋から出ていき、外に誰もいないことを確認すると、私は薄い本とペンを木で作られた机の引き出しから取り出す。
取り出した理由は簡単。
今日のことを記録するためだ。
前田の時のように一人一人と話し合えればいいのだが、時間というものはそう思った通りに過ぎてはくれない。
要は時間が足りないのだ。
私は頭が良い。…らしい。
というのもこの内面を決めたのもプレイヤーなわけで、私の実力でこの賢さになったわけではないから胸を張って言えないのだ。
だから、本当に頭が良いかも自分では分からない。
それでも、その設定が、今私を冷静にさせてくれているのだと思う。
初めてプレイヤーに感謝したのかもしれない。
私は目を瞑り、心の中でありがとう、と一言だけ呟きそっと机の上に取り出した薄い本をもう一度見つめ直す。
その一ページ目を開き、『今月』 の日付と 『今日』 の日付を書き込む。
一行ほど空けた場所に今日あったことを日記のようにつらつらと書く。
もともとこの日記はつける予定だった。
初めて、審神者としての見習い育成。緊張するかもしれないその作業、そしてまた次もあるかもしれないという期待。次があるかも分からなかったが、あるのなら初めてで戸惑ったことや気付いたことなど纏めておこうと思っていたのだ。
なにより、プレイヤーとは違うことが出来る。
それが私の心を舞い上がらせていたのかもしれない。
今日の出来事を大体纏めて、一ページを使った。
なので次の事項は隣に書く。
『これからすべき事 改善点』
___審神者の私が焦ってはいけない。
主が乱れればそれに仕える者達は戸惑いを隠せない。司令塔が一番冷静でなければいけないのだ。何事も一番に理解し、改良点を見つける。
私が見習い時代のときに、お師匠様がよく言っていた言葉だ。
それが今だと、身体全体が訴えている。
胸に手を当て、深く息を吸う。
すると目の前が月明かりに照らされ、きらきらと輝いた。
それからもう一度だけ頭を整理して、またペンを白紙の紙へ滑らせた。
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なのは(プロフ) - 甘gumさん» こ、こんな不定期なものでも待っていてくださるなんて…感動です!!謎の視線については後々…ということで、また頑張っていきます!ありがとうございます(*^^*) (2019年11月26日 9時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
甘gum(プロフ) - 更新待ってました!ありがとうございます!主人公を見る謎の視線が何なのか気になりますね…更新お疲れ様です! (2019年11月26日 0時) (レス) id: ac11c5bffc (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雪さん» うわぁぁ!!涙が止まらないなんて.......ありがとうございます!!これからも長く続けられるよう、推進して参ります! (2019年7月2日 6時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 一気読みさせてもらいました!涙が止まりません(笑)続き楽しみにしてますっ! (2019年7月1日 20時) (レス) id: 83eed38689 (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 狐火さん» 遅れてすみません!一目惚れして頂いて感謝です!まだまだ長くなるかも知れませんが、今後ともこの小説をよろしくお願いします! (2019年2月25日 19時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋月なのは | 作成日時:2017年8月15日 15時