episode 2 ページ3
side.クズ男
「・・・ゔぅ、」
頭の鈍痛と腰のダルさに目が覚めた。
一度でいいから小鳥のさえずりで目ェ覚ましてみてェもんだ。
なんてそこまで考えて右側に寝返りを打つと、ふにっ、となにやら柔らかい感触。
(───あ、?)
うちにそんなもんあったっけか、と特に何も考えず布団を捲ってみれば。
「・・・・・・へ、?」
すげェ別嬪さんが、一糸纏わぬ姿で俺にピッタリとくっついて眠っている。
かくいう俺も、何にも身につけちゃいない。
(や、ヤっちまったァァア!!!!!)
嘘だろ、マジかよ俺!?
なんで覚えてねェんだよ!
こんなイイ女抱けるチャンスそうそうねェぞ!!
我ながらクズすぎる思考回路だとは思ったが、この別嬪さんを起こすべきか否か。
ていうか色々当たってるんですけど。
何も着てねェから諸々ダイレクトに伝わってくるんですけど。
それに、よく見りゃここは俺の家じゃねェ。
あきらかにラブホだ。
つまり、今逃げようと思えば逃げられるのだ。
・・・え、逃げる?マジで逃げちゃう?
こんなカモネギ逃すの勿体ねェけど、逃げちゃう?
なんて考え、ピンクの照明に照らされたベッドから這い出そうとすれば。
「・・・んぅ、」
(お、起きたァァァアア!!!!!)
なんとも艶めかしい声を出しながら開かれた、長い睫毛に覆われた瞳と目が合った。
「・・・んー、?」
まだ寝惚けているのか俺をぽやっと見つめるそれは、なんとも言えない不思議な色をしている。
「・・・あ、」
そこでようやく、自分が何も着ていないことに気がついたらしい。
「あー、やっちゃったか・・・。
お兄さん昨夜のこと覚えてます?」
「・・・いや、全く」
「はは、日本酒頼んだ辺りから記憶ないわ・・・」
俺に関してはこの姉ちゃんといつ出会ったのかすら覚えてねェ。
にしても冷静だなオイ。
普通これぐらいの歳の女ってキャーキャー騒ぐもんじゃねェのか。
「・・・れ、冷静なんすね」
「ガキじゃあるまいし酔った勢いでワンナイトラブくらいあるでしょ。
まぁ意識まで飛ばしたのは初めてですけど。相当良かったんですかね〜」
だったらシラフでもう一回抱かれとこうかな、なんて呟いている。
(・・・うわァまたなんかどぎつい奴きたァ・・・)
なんでこんなに、俺の周りにはまともな性格した女が集まらないのだろうか。
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作者名:とむ子 | 作成日時:2018年10月19日 4時