【青檻】召使い、ゼロ日同棲【糸師凛】

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『んじゃおうち帰りますか』

エンジンをかけてAはシートベルトを締める

「お前いい車乗ってんな……」

『あ、またお前って言ったー』

むぅと頬を膨らますA

いつもならめんどくせぇ、と思う俺でも思わず可愛いと思ってしまう

「すまない」

『案外凛さんって素直なんですね

車可愛いでしょ〜限定車ですよ』

俺の方を向いてピースサインをするA

ふ、と笑みがこぼれてそうか。と呟く


車内では宇多田ヒカルが流れる

「渋いな……」

『え、そうですか？』

くすくす笑う運転中のAを見つめる

『凛さんは誰か好きなアーティスト居ないんですか』

「キングヌーだな」

『え、私もめっちゃ好き』

思わぬ共通点を見つけ俺は少し心が踊る


「そういえば千切はなんなんだ？」

『何って……んー、友達です

地元の

いいお兄ちゃんみたいな』

「そうか」

元カレとか言われたらどうしよう、と思ったがその答えに俺は少し安堵する

『凛さん、今日は何食べたいですか』

「なんでもいい」

『いちばん困る答えだな』

まあいいや、とAは呟き信号待ちの間にタバコに火をつける

その姿が妙に色っぽくて、煙を吐くAの横顔を見つめる

『なんですか』

じっと見つめる俺と目を合わせるAに

「敬語やめろ」

と俺は言う

『えー、わかりました』

「ん」

『さっきから凛さん私の事すごい見てくるじゃん……』

「あ？そんなんじゃねぇよ」

俺はそう言いAの頭をぽこ、と叩いた

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