きみの隣に (ページ2)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:424 hit

良からぬ出会い J ページ2

繋いだ2人の手首にあるブレス。
それは俺が1年前に一緒に映画を見に行った時にこいつにプレゼントしたもの。

きっと、こいつは俺の気持ちに気づいてない。
ずっとずっと隠してきた。

生まれた時からずっと一緒で、だからこそこいつはずっと俺と一緒にいる。
これから先も、きっと。
でも、今俺のこの想いを伝えたら今までのものが全て壊れてしまいそうで…

言葉に出来ない想いは、贈る物に気持ちを込めたり
キスや男女の行為、普段の言動全てに表してみる。

今となりで笑顔で話してるこいつの隣にいるのは俺で、その唇に触れられるのも俺だけで、隠れてはいるがその胸もとについてる印を付けられるのも俺だけで。

そう想うのに、Aの想いはわからない。

そんな風に滅入るようになった、今日このごろ。
また、考え込んでると、左の頬を抓られる。

｢潤ってば!!
ねぇ、ちゃんと私の話聞いてますかぁ？？｣

少し不貞腐れたような顔してるのも可愛い。

｢Aが今日も可愛くてつい見惚れてたわ(笑)｣

俺の言葉にボっと赤くなるこいつは、俺がこんなことを何度言おうと初々しい反応を見せる。
そして、それを見て俺はますますこいつに惚れる。

｢顔真っ赤(笑)

ほら、ついたぞ！
やっぱ、人多いなぁ。｣

｢ほんとだ、人気だもんね、ここ。｣

俺の声にAもキョロキョロして言う。

パンフレットを貰い、観光学部の説明会のある5号館に向かう途中で

｢あの、もしかして櫻嵐高校の生徒じゃない??｣

その声に2人で振り返れば
明るい茶髪にはなっていたけど、見覚えのある人がいた。

｢翔先輩!!｣

｢覚えてくれてたんだ(笑)
俺、ここの観光学部なの。
んで、見たことある美男美女が歩いてたから(笑)｣

笑顔でそう言う先輩は、白シャツに黒パンツ。
サンダルだけど、首元や手首、指先にひかるシルバーアクセが爽やかさと上品さ。
先輩その人を表しているようだった。