【原神】無表情の私とホムンクルスの君【アルベド】 (ページ11)

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10話ページ11

『ぅぐっ......！！！』

声にならない声を上げて、地面に叩きつけられる。

何も成せないまま、終わっちゃうのかぁ......

不思議と何も怖くなかった。
むしろ、もう楽になれる、とすら思えてしまった。

そんな私の意識を遮るように、ひとつの声が響く

「擬似陽華」

その聞き覚えのある声に、意識がグッと引き戻される。

『あ.......るべ.....どさん......？？』

アルベド「酷い怪我だ、顔色も良くない。直ぐに、モンド城に戻ろう。......と、その前にアレを片付けないと。」

アルベドさんは私の脈と熱を確認して、直ぐに狂風のコアへと視線を移す。

アルベド「悪いけど、今はキミの相手をしていられるほど、暇じゃなくなった。」

そう言いながら、アルベドさんは剣を腰にしまい、右手の拳をグッと握る。

アルベド「今こそ、誕生の時」

そう言うと、辺り一面に岩の花が咲き乱れ、狂風のコアは動力を失ったように地面に落ち、そのまま動かなくなる。

アルベド「待たせたね。さぁ、行こう。」

抵抗する暇もなく、私を抱きかかえるアルベドさん。

『ちょっ、重いですよっ.....』

恥ずかしさも相まって、暴れる私をひと睨みしてくる。

アルベド「どうせその怪我で歩けもしないのに、どうやってモンド城まで行くつもりかい？」

『それは.....えぇと.....』

アルベド「あらかた、この辺りで横になってたら回復するだろう、くらいに思っていたんだろう？」

アルベドさんには、お見通しみたいだった。

アルベド「それで、何であんなとこで1人で戦ってたのか、聴いてもいいかい？」

『え、えぇと......』

正直、ここまでの経緯をあんまり覚えていなかった。
怖い夢を見た気がして、気付いたらあそこに居て、狂風のコアと戦っていた。

ゆっくりと、順序だてて思い出す。

ジンさんに、休暇を頂いて......布団に入って......

そうだ、産みの父と母の夢を見たんだ。
私の居ない、幸せそうな夢を。

『私があそこに居たのは、ここじゃないどこかに行きたかった......からですかね......』

アルベド「そうか」

それだけ言うと、アルベドさんは何も言わなくなった。
何か、考え事をしている様だった。