1話 ページ2
きっかけは、間違いなくあれだった。
あの日私は、鍛冶屋のワーグナーさんに星銀鉱石を取ってくるようにと頼まれ、ドラゴンスパインへと足を運んだ。
来てみたはいいものの、あまり土地勘がなく、星銀鉱石を探すうちに見知らぬ場所に迷い込んでしまう。
とりあえず、麓を目指そうと羽を使いながら少しずつ壁を降りていると、地響きがする。
嫌な予感がして山頂の方を見上げると、真っ白な波......ではなく雪崩が押し寄せてきていた。
咄嗟に飛ぼうとしたが、一足遅く視界が真っ白に染まる。
そのまま投げ出された感覚を最後に、私の意識は途絶えた。
そして、目が覚めると以前雪山ではあるが、先程までの異様な寒さはなく、身体にはブランケットのようなものが掛けられている。
『.....んっ.......痛っ......』
周りを見回そうと身体を起こすと、身体のあちこちが痛む。
雪崩に巻き込まれた時に、ぶつけたのか。
??「あまり、動かさない方がいい。怪我の状態が分からない状態で無闇に動かすと、帰って悪化する可能性がある。」
聞き覚えのある声がして、そちらを向くと、調査小隊長であるアルベドさんが、椅子に座り資料を片手に持ちながらこちらを見ていた。
『あ、アルベドさん.......?』
アルベド「キミがここの近くで冷たくなって倒れていてね。下山するよりここに運んだ方が早いと判断したから、連れてきたんだ。」
私の表情から、感情を読み取ったのかそう話し始める。
アルベド「さっきの揺れと言い、もしかして雪崩に巻き込まれたのかい?」
『は、はい。恐らく。』
ふと、辺りが暗いことに気付く。
『!?私、何時間寝てました?』
すると、少し驚いた顔をしながらアルベドさんは口を開く。
アルベド「君を見つけたのが昼過ぎとかだったから、8時間くらいじゃないかな。」
8時間!?驚きすぎて声も出ない。
ワーグナーさんとジンさんに怒られる。
まずい、星銀鉱石取りに行かないと。
『行かなきゃ.....』
そう思い、ブランケットを剥がし痛みも無視して立ち上がる。
アルベド「もう夜だ、足元は暗く気温も昼より一段と下がる。その怪我で下山するのは危険だ。」
冷静な声色でそう言いながら、アルベドさんは立ち上がる。
『助けてくれて、ありがとうございます。でも、私はここで休んでる暇はないんです。』
そう言って立ち去ろうとすると、腕を掴まれる。
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作者名:ウォシュレット | 作成日時:2021年12月7日 6時