Symphony11【病系】【短編集】

. ページ5

.

桃side









リビングに着いた莉犬は、そのままキッチンへと入っていって俺はそれに着いていく



「 、さとちゃ、っは寝ていいよ…コホッゴホ 」

「 なぁんでよ、 」

「 、……寝てないでしょ、、 」


まるで飼い主に怒られてしゅんとしている犬みたいに、急にしゅんとして言う莉犬




「 寝て？いや寝てたしさっき 」

「 …ぉれ、の、けほっ、、看病…寝れてない、、 」


あんなに言葉の上手い莉犬がぼそぼそと呟く言葉を俺は解読する

俺の看病しててまともに寝れてないでしょ。そう言いたいんだろう



「 寝たし今眠くないし俺。それに、莉犬の看病のために起きてたわけじゃないよ 」

「 、……じゃぁ、、 」


莉犬はキッチンに何をしに来たんだろう

料理をするような素振りも見せないから、それがすごく気になっている



「 料理しよ、？ 」

「 料理？ 」


こんな時間に料理？今から？食べたら太るやんとも思ったが、否定的な言葉は全て飲み込んで、「いいよ」と答えれば、不安そうな顔がぱあっと明るくなった

わかりやすい奴




.




「何作るの？」と聞けば、「パンケーキ！」とさっきまでの辛そうに発作を起こしてた莉犬は何処へやら、元気そうな声で答えが返ってきた



「 お腹すいてたの？ 」

「 ちがくて、…寝れないから 」

「 いっぱい寝たもんな 」

「 ぅん。あとね、食べたいのもある 」

「 そっか 」


莉犬がパンケーキ粉をボウルに入れ牛乳と混ぜている間に、俺は隣でフルーツを切る

バナナとイチゴ。それとブルーベリー。




「 せっかく作るなら3人の朝ごはん分も作る？ 」

「 うん！沢山作りたい 」


頬に粉をつけながら楽しそうにパンケーキを作っている莉犬

それを見て元気ならなんでもいいわと心が温まる俺



熱したフライパンに、ホットケーキミックスを流す

綺麗にまん丸に広がったそれを見ながら莉犬は口角が上がっている



「よいしょ！」とひっくり返すと綺麗なきつね色の断面が現れた

「 おぉ、上手 」

「 へへ、w 」


多めに作ったから何枚も何枚も出来上がる綺麗なパンケーキ

1人2枚は食べられそうな量でお皿に盛り付けていく




「 莉犬は今食べる？ 」

「 …さとちゃんは？ 」

「 ………今食べる 」

「 じゃあ俺も 」


これは言わされた

真っ直ぐな莉犬の瞳が「今食べたい」と訴えてきていたから







.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す