Symphony11【病系】【短編集】

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桃side










「 ふぅ……、 」


作業を終えて天を仰ぐ

机に置いてあるデジタル時計には5:58の表示


気がついたら、もう朝になっていた




「 、よしっ 」


ご飯作るかぁと立ち上がる。と同時にぐわんと揺れた視界




「 ……っと、 」


机に手を着いて何とか倒れるのは耐えた

目の前がグルグルと歪んでいるから目を瞑って、そうしたら加えて感じた頭痛にまた耐える


少し落ち着いたところでリビングへ降りてキッチンに入る前に、棚に入っている体温計を取り出して脇に挟んだ

じっと待っていればﾋﾟﾋﾟﾋﾟと音が鳴り［38.4℃］の文字


ほんと？と目を擦り確認しても同じ数字が書かれていて、あちゃ〜ともう一度天を仰いで、記憶に蓋をしようと体温計の電源を切って棚に戻した





体の不調をしっかりと感じ始めていた時にころんが起きてきた

昔は俺が叩き起こしてもベッドから出なかった寝坊助さんが、今は自分で目覚ましかけて起きてくるだけで成長したなぁと感じてしまう


きっと俺は親バカならぬ兄バカだろう



俺が起きていることに驚いた表情を見せたころんは、目の色をすぐ疑いの色に変えて探りを入れてくる

てゆうか俺が寝てないってことバレてるし。なんでだ？





元気な弟たちを見てれば自然と自分も元気なように感じて、1人で料理している時より何倍も体が動いた

ころんを見送って、ぼーっとテレビを見ている双子を横目に脱衣所に行く。だいぶ洗濯物は溜まっていて今日は2回回さないとな。と1回目の洗濯物を回した



ようやく双子を見送れば、我が家には俺1人な訳で

一度部屋に戻って今日の動画をセットして軽く仕事先の人とのやり取りを返信して、リビングに戻る


ついさっきまでやっていた朝の情報番組は別の番組に変わっていて、たまたま自分の好きなゲームについての報道をしていたからとソファーに腰を下ろせばそこから動けなくなった




ずーーーんとソファーに吸い込まれていくように、俺を離してくれない

体は重いし、頭は痛いし、ずっと気分は上がらない

洗濯物が終わったサイン音が聞こえても、朝使った食器を洗わなくてはいけなくても、体は動かないし頭はもっと働かなかった






「 ……はぁ、 」


なんかもうダメだ。と体のだるさに飲み込まれそうになって座っていたソファーに横になり体を完全に預ければ

そこからの記憶はない






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