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桃side
力なく俺に寄りかかるころんを抱き上げて、部屋に戻る
「 …ごめんなさい、、 」
「 うん 」
きっとしたくてしている訳じゃないんだ。苦しみとか辛いものから逃げたくてやってしまっていること
こうしていつも俺が怒ると小さな声で何度も謝るから、それはそれでこっちも胸が痛い
「 口嫌な感じするよね。お水持ってくるから 」
ベッドにころんを下ろして、頭を撫でる
少し穏やかになった表情を見て俺はリビングへ一度戻った
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「 ころん水持ってきた 」
締め切ってなかったらドアを開け言うと、またビクッと上下した体
ベッドの上に布団を被ったまま座っているのであろう盛り上がり
表情が見えないから見える方へと布団の入口へと回る
「 、ころん…、 」
「 、はぁっはぁ…フゥ、、ッにい、ちゃ 」
震える手はしっかりとカッターを握って、左手に押し付けている
左手には2本の赤い線
1本はきっと昨晩つけたもの、赤い血は既に固まっている
2本目は今俺が居ない間につけたのだろう。ツーッと手首を通った血がシーツに落ちた
「 、痛い? 」
「 ……ぅん、 」
「 じゃあ…… 」
俺は自分の手首をころんに差し出す
目を丸くして驚いた表情のころんと目が合った
「 俺にもその痛いの感じさせてくれ。一緒に 」
大きな瞳から落ちる大粒の雫
ころんはカッターをシーツに落としてわんわん泣き始めた
「 俺がいるから。ずっと、どんなに痛いのも辛いのも一緒に感じさせて欲しい 」
ころんの直ぐに折れてしまいそうな細い肩をぎゅっと抱きしめる
俺の耳元で声を上げて泣くころんが本当に痛々しくて、背中を擦りながら落ち着くまでずっと抱きしめていた
ようやく落ち着いてくれたころん
まだ鼻はグズグズで目は真っ赤だけど、雰囲気で元に戻ったと分かる
ころんの部屋に置いてあるオレンジスイートのアロマをつけて、手首を手当する
左手に彫られた無数の傷が、ころんの心に刻まれた傷だと考えたら、いじめっ子には怒りがおさまるわけが無いけど「ありがとう」と手当を終えた後に呟くその一言でその怒りなんてどうでも良くなる
俺が復讐したってころんの心の傷は変わらないもんな
「 にぃちゃんの、ごはん食べたい 」
そうやって少し照れた表情で甘えてくれるお前を俺は絶対に突き放したりしないからな
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オレンジ・スイート−fin.
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yuka_ayaton(プロフ) - リクエストありがとうございました!2人の絡みが微笑ましくてあっという間に読み終わっちゃいました😊 これからも応援してるます💕 (3月8日 23時) (レス) @page49 id: 77a4af734c (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ。(プロフ) - わーー、今回のお話はめっちゃあったかい話だ‥。めっちゃ好き。 (3月2日 0時) (レス) @page38 id: f84cc4c883 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - しゅあ。さん» しゅあちゃん!!もちろん覚えてるよ\(^o^)/~!コメントありがとう🙌🏻しゅあちゃんに読んでもらってると分かれば投稿頑張っちゃいましょうかねぇ✊🏻❤️🔥 (3月1日 2時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ。(プロフ) - らふちゃん、覚えてるか分かんないけどお久しぶり。 やっぱ天才だわ。楽しませてもらってます。 (2月29日 0時) (レス) id: f84cc4c883 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - たきこみごはんさん» リクエストお受け致しました。長らくお待たせするかもしれませんが気長にお待ちください😌 (2月23日 10時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らふのすけ | 作成日時:2024年2月7日 9時