Symphony３【病系】【短編集】

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橙side










焦りなんて感じないわけが無い


俺のせいでみんなの負担を増やしてるし


俺の帰りを待っていてくれているリスナーさんの言葉も痛いほど胸に響いてくる




焦らずって言われるけどそんなの無理で


今すぐここから出て「ただいま」って言いたいのに、俺の体はそれを許してくれないみたい





息がすぐに上がってしまって、胸が苦しくなる


大きな発作が起きたらそれこそ命に関わるからって、移動は全部車椅子



自分の足で歩くことも許されないんやなって情けなく思えた






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「 ジェルくん？ 」

「 ん、ぁ、なに？ 」

「 みかんとぶどうのゼリーどっちがいい？ 」

「 んー、みかん 」


ころんが買ってきてくれたゼリーを食べる




「 あぁ、寿司食べてーな 」


入院してからこんなものばっかり

寿司とか焼肉とか、俺の好きな食べ物は全然食べられへん




「 退院したら食べに行こうよ 」

「 お、じゃあころんの奢りな？w 」



俺はちゃんと笑顔作れてるか？

忙しい時間縫って逢いに来てくれている大切なメンバーにこれ以上心配かけないために、ちゃんと笑顔でおらんと

たまにユーモアのある言葉言ったりして笑わせたりせえへんと




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「 ジェルくん？ 」

「 、ん？ 」

「 何考えてたの？今 」

「 何って…？w 」

「 いや何か考えてるように見えたからさ。…僕には言えない？ 」


真ん丸なころちゃんの目がうるうると輝いている



「 いやw 言えへんことはないけど 」

「 ……ジェルくんさ、僕達は仲間だよ 」

「 、ぉん。知っとるで 」


そんな真っ直ぐな目で俺の事見ないで

こんな弱い俺を仲間だなんて言ってくれる優しい君たちに甘えちゃうから



「 、ジェルくんの優しさとか面白さとかにいっつも助けられてた だから今度は僕達がジェルくんを助ける番なの 」

「 …そんなことないやろ 」

「 あるの！だからジェルくんにはゆっくり休んで欲しいんだよ
一歩一歩でいいからさまたみんなで活動できるようにゆっくり進んで行こうよ 」



一歩、一歩か…

またみんなで活動できるまで何歩あるんやろうな





「 僕は待つよ。帰ってくる場所ももちろん守る 」


彼のその強い瞳に惹き付けられる



「 一緒にさ頑張ろ 」

「 一緒に… 」

「 うん。一緒に 」



俺はひとりじゃない

それだけで、こんなにも心強いものなんだ






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歩−fin.


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