生きる 2【stpr】

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桃side














ライブ前に飲んだ薬は全く効かなくて



お客さんがいる



笑ってくれてる



その顔が見たい一心で俺は舞台に立っていた








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思った位置に真っ直ぐ歩くことも



うちわの文字を読むことも



全部がいつものように出来なくて



気を抜いたらいつでも倒れてしまいそうなくらいの状態で



舞台上では一瞬たりとも気を抜けなかった








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舞台裏で着替えを済ませ



簡易酸素マスクを使うけど息苦しさは全く変わらない






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急に耳鳴りがして



ふわっとある思いが浮かんだ







“ これが最期 ”







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入院して欲しいと担当医に言われた時



ある資料を渡された








表紙に『ターミナルケア』と書かれていた



その言葉で全てが分かる






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もう治療法はない



手の尽くしようもない





俺は終わるんだ






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どんな終わり方をするかの選択肢を提示してもらったんだ





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その耳鳴りと同時に足の力が抜け



ドクターが気づいたらいて



ドクターは首を横に振った






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最後だぞ俺の



俺の最後






こんな形で終わらせられるか








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完全に意地と根性だ




そんな力残ってないはずなのに俺は立ち上がれた








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紫「MC延長させてもいいから。次はないからね」




俺はつくづくいい仲間に出会えたなと思うよ







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それからは無我夢中であまり覚えていない





ライブが進んでいって、ゴールテープを切れたことは覚えている







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お客さんを退場させるアナウンスが聞こえて



自分が舞台裏にいることがわかった瞬間







全ての体の機能が一気に停止したように



体が重くなって、俺の記憶は途絶えた









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真っ白な世界で





何故かは分からないけど





俺はとても幸せな気分に包まれていた









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終わったんだ






何となくそう感じた








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でも、そう思った瞬間





メンバーの顔




思い出、景色、音……





全部が一斉にフラッシュバックしていく










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俺は、この人たちのために生きたいって思ってたんだ







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でも多分、あと少ししか無理だから





だったら俺は5人が後悔しないような終わり方をしたいな



















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