ほっとらて【短編集】

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桃side











廊下にしゃがみこみ、シワがしっかりと付くほど強くTシャツを握りしめ肩で呼吸を繰り返すころんは潤んだ目で俺に訴えてくる



自分は行けるって





けど、最近の症状を見て、今のその真っ白な顔色を見て、GOを出すことは俺には出来ないよころん









『 、はぁっ…ふぅ、、わかった…ならもういい 』



不貞腐れた顔をして、るぅとに捕まりながら立ったころんは荷物を持って自分の部屋に行ってしまった


すれ違った時のころんの顔は、まるで捨てられた子犬のように寂しげだった









「 、そろそろ行かな時間ない 」

「 そうですね… 」




「 …俺休むわ、腹痛てぇ無理だ行けそうにない 」



お腹を押えて、俺も玄関とは逆方向に足を進める




ライブのリハーサルよりもきっと今はこっちの方が大事だ


俺の相方の方が








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((コンコン



「 ころーん、？ 」

『 …グズっ、何… 』


ドア越しに聞こえるその声は微かに震えている

何泣いてんだよこいつw






「 いや、別に。今…体は？ 」

『 もう治った 』

「 そっか、良かった 」



今はこのドア越しでも彼の気持ちに寄り添えればいいと思った


ドアに背中をつける形で座る







『 みんな、怒ってた？ 』


繊細で優しくて、人の心に敏感なころん




「 怒ってるわけないだろ 」

『 …結構きつい言い方しちゃったよね 』

「 お互い様。ころんが大事だから心配で…ついあんな言い方しちゃうんだ、ごめんな 」

『 …うん、僕もごめん…ｯ 』


また今にも泣き出しそうな声が聞こえてつい笑みが漏れる






『 、リハーサルは？ 』

「 ん？あー俺、めっちゃ頭痛くて…あ、違う腹だったわ、w 」

『 ふっ、ズル休みかよ、w 』

「 ちげーよw 本当に痛いの。あー痛いなぁ、痛い痛い 」



そんなことをわざと棒読みで言っていると突然ドアが開いて、床にゴロンと転がる







『 うわっ、！何してんの 』

「 いや、急に開けんなよびっくりした、 」



ころんの驚いた顔を下から覗く

少しの沈黙の後、急に今の状況が可笑しくなって2人爆発したように笑いだした








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