ほっとここあ【短編集】

ネクタイとYシャツ【水】** ページ10

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『 ねぇ、今すれ違った女の人見た？僕、ロングヘアめっちゃ惹かれるわ 』

「 …、なにそれ、 」




腰まであった髪を、彼の意向で肩上まで切った

私服ではスカートなんて滅多に履かないのに、彼がその方が好きって言うから、何本もスカートを買った



大好きな彼に、嫌われないように必死に

毎日必死に、私は自分を貴方好みに変身させているのに

彼は1度 “かわいい” と言ってくれただけでその後はこの調子だ







2人で歩いてる時は、他の女の人の話なんてして欲しくないのに…









『 何？怒ってんの？
…Aが1番可愛いに決まってんじゃん 』



そう言って、肩を抱き寄せられた


こうやってスキンシップが上手くて、少しＳっけを出してくる辺り

女の人の扱いに慣れてるなって思う











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「 ころちゃんってさ、実はSだよね 」

『 え？…分かんないw 』



その分かんないは完全に分かってる人の言い方だ

彼の手は自然に私の太ももの上に置かれている




「 悪い顔してる 」

『 ふふっ、好きでしょ？ 』

「 …、うんw 」

『 着替えないの？ 』


初めて、私の部屋に招待した

一通り部屋を物色されたあと、やっと席に着いた彼はまだ制服姿の私を不思議そうに眺めている








「 …、部屋着みたいの？ 」

『 え、うん！見せてくれるの？ 』

「 少し外出ててくれるなら… 」

『 やだよ 』



コンビニで買ったお菓子と炭酸飲料

それをポリポリと食べながら、彼は悪そうに笑う










「 …、 」

『 変なところ恥ずかしがるよね。もう裸見てるんだしいいじゃん 』

「 …そうだけど……、 」

『 …来て 』



彼は手を拭いて、片手でネクタイを無造作に外しながら言った






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