ほっとここあ【短編集】

先生？ありえない【水】 ページ47

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「 こんにちは〜 」


春休み、廊下ですれ違った先生に挨拶をする

前から知っている先生と、その隣を歩くスーツ姿の男性




「 誰だろ？転校生かな 」

「 かもね 」

「 イケメンだったね 」

「 うん 」


たった一瞬顔を見ただけ

そんな会話をして、深く考えることなんてなかった










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「 では、新任の先生の紹介です 」



春休みも終え、私は高校３年生になった


長い長い校長先生の話が終わり、司会の教頭先生の声が響く



壇上に上がる数名の先生たち







「 ……、ぁ 」


眠い目を擦りながら、壇上に目をやるとあの時の男性がいた






「 3年1組の副担任になりました。ころんと言います。担当教科は数学です。」


春休みに見た時は明るめだった髪色も落ち着き、爽やかな声がマイク越しに聞こえる






「 え、あの先生かっこよくない？私達のクラスの副担だって！！ 」

「 んね！え、私連絡先交換したい！ 」

「 いいねいいね、彼女とかいるのかなぁ？ 」



近くの女子が少し盛り上がる


確かに顔はかっこいい




けど、幾つ年が離れてるかも分からない人を好きになるなんて


ましては、付き合いたいと思うなんて絶対に思わない







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始業式が終わり、教室に戻る



クラスの女子たちは一斉に手鏡やスマホの画面で身なりを整え始めた





ガラガラとドアが開き、担任と、ころん先生が入ってくる







近くで見ると、なお綺麗な顔をしているのが伝わる









同じクラスの男子たちは可哀想だな




そんなことだけを考えてしまっていた










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私はクラスではあまり目立たない存在だと思う



今も、ころん先生は女子達に囲まれて、あれやこれや事情聴取紛いなことをされているけど



私はその和に入ろうともせず、何故か聞き耳を少し経てながら、勉強をしている







女子生徒たちに向ける笑顔が眩しい





先生が赴任してきて、早1週間が経とうとしているけど、


もうこの学校の女子人気1位は紛れもなくころん先生だろう









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