逆さまの虹【桃】 ページ22
ハート最近少なくて寂しい🥹
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「 あ… 」
季節は梅雨
朝は晴れてたから大丈夫かななんて軽い気持ちで家を出てきたものの、私は今困っている
地面に強く打ち付ける程の雨
友人たちはもう帰ったから、傘に入れてくれる人なんていない
いっそ、傘立てに刺さりっぱなしの傘をくすねてやろうか
『 あの…入りますか? 』
「 え?、私? 」
『 あ、はい…駅までですけど…… 』
校舎の前で立ち止まっている私に気が付き話しかけてきてくれた青年
これが、彼との出会い
軽く着崩された制服に、緩いネクタイ
一見チャラそうに見えるけど、言葉遣いは至って丁寧だった
「 良いんですか? 」
『 はい…行きましょう。電車遅れますよ 』
彼が広げた傘に入る
初めて出会った男の人とこんなに近い距離に居るなんて、それだけでドキドキした
「 …何年生? 」
『 2年です。3年生ですよね 』
「 ぁ、うん。知ってたんだ 」
『 いや、靴箱3年生の所から出でくるの見たんで 』
「 あ、、そっかw 」
歩くうちに、肩がぶつかって
そうすると彼は少しだけ反応して離れるんだけど、傘が私から離れたことに気づいて傘だけを私の方に向けてくれる
でもまたぶつかって…
同じ動作の繰り返し
なんだかその動作ひとつひとつがとても可愛くて、
すーっと綺麗な横顔を見ながら、私は笑ってしまっていた
『 さとみって言います。2年6組の 』
「 3年3組のAです 」
会話は少なかった
私が頑張って続けようとするんだけど、あんまり反応が良くなくて…
「 ありがとうね。すごい助かった 」
駅までの数十分の出来事だ
けど、私には充分記憶に残ることだった
『 ぁ、あの! 』
傘を畳んだ彼は、私を引き止める
「 ん? 」
『 また…、傘忘れていいですよ 』
「 …? 」
『 また、僕が入れてあげます! 』
耳を真っ赤にして、彼は私を真っ直ぐ見て言った
「 ふふ、ありがと。荷物減るから助かるw 」
『 やった… 』
小さく拳を握った彼の左肩は、制服の色が変わるくらい雨に濡れていた
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うみぶどう - 初コメ失礼します!🙌らふのすけさんの小説ずっと読んでるんですけど、毎回毎回とても素敵なストーリーで、ドキドキィとワクワクゥが、もうヤバいです🥲これからも頑張ってください!! (2022年8月5日 21時) (レス) id: ecd258f0aa (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - ヒアヤさん» ヒアヤさん!何度もコメント本当にありがとうございます☺️うるっとなんて最高の褒め言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願いします٩(ˊᗜˋ*)و (2022年6月6日 19時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - たこ天さん» たこ天さん!コメントありがとうございます😌うわぁそう言っていただけるの凄く嬉しいです。これからもよろしくお願いします( ¨̮ ) (2022年6月6日 19時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒアヤ - 次回も楽しみにしています!頑張ってください! (2022年6月6日 7時) (レス) id: 21aa03ab93 (このIDを非表示/違反報告)
ヒアヤ - お知らせ把握です!とりあえずジェルくんがふんわりしてて優しい感じで好きでs((( もう…あの6周年のやつでうるっときちゃいましてwらふのすけさんはライブ行かれたんですね!私もいつか行ってみたいです…そんなことはさておき、今回も最高でした! (2022年6月6日 7時) (レス) @page46 id: 21aa03ab93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らふのすけ | 作成日時:2022年5月9日 22時