今日の天気はきみによく似て｜2016｜JH. ページ5
JH「たのしい？ハクや」
「交代する？」
JH「いや、乗りたいんじゃなくて」
「楽しいっていうか、楽でいいよ。これ」
JH「押すの俺なんだけど」
「はは」
涼しげで陽のよく見える、良い日だった。暑すぎず寒すぎず、頬を霞むそよ風が心地よくて心落ち着けるような、のどかな天気で。
『
リパッケージアルバムに追加するための、新曲のミュージックビデオの撮影の日だった。
極上の撮影日和だと監督やスタッフの人たちが喜んでいたのを見て、本当にそうだなと心から賛同したものだった。
撮影用の大きな黄色いショッピングカートを押しながら、なぜかその中で座り込むAの綺麗な髪を眺める。
本当はここにヒロイン役の女の子がいなきゃいけないわけだけど、監督の指示を聞いていたら、なぜか先にしれっとAが乗っかっていたから。ダンボールに潜り込む猫みたいな感じで。
これはこれで絵になるなぁ、なんて監督のその一言で、そのままカメラを向けられてしまったのが事の始まり。
艶を纏うきめ細やかな黒。傷んだことすらなさそうなあまりにも綺麗なその髪が、空を見上げようとゆっくりと擡げる。
「あの雲、ジョンハニに似てる」
JH「どれ？」
「あの一番大きい雲」
JH「…どこが？」
「穏やかそうな顔してるじゃん」
JH「……顔？」
「顔」
雲に顔も何もないだろうけど、Aが指差したほうへ視線を移動させると、たしかに大きな白い雲がそこにはあった。
誰に急かされることもなく、ゆっくりと青い空を揺蕩う緩やかな雲。頑張ればあの上に乗れるんじゃないか、とか錯覚してしまうぐらいには分厚くて大きなそれに、Aは顔すら見えているのだろうか。
前を向く小さい頭にまた視線を戻してはみるものの、どういう意味かはよくわからない。なんかそういう、言葉の綾みたいなものだとは思うけど。
「ハニの下の小さいのがジフニ」
JH「怒るんじゃない、小さいとか言うと」
「怒る？」
JH「ほら、身長分けろって」
「かわいいのに」
カートを押す掌が少しだけ緩む。
平然と流れていくその言葉に、淡々とした綺麗な声に、思わず首を傾げた。人に向かって可愛いなんて言うのを、自分ははじめて耳にしたかもしれない。
ああでも、スンチョリには言っていたな。あれはどちらかというと揶揄っているだけだろうけど。
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をる(プロフ) - Kさん» コメントありがとうございます😭！！拙い文ですが楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです。これからも見守っていただけたらと思います、ありがとうございます🙇 (4月3日 19時) (
レス) id: 8d863670a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - いつも読ませて頂いております！素敵なお話ありがとうございます。無理なさらずこれからも応援しています☺︎ (4月3日 11時) (レス) @page25 id: 64e289b1e8 (このIDを非表示/違反報告)
をる(プロフ) - こころさん» わー！！コメントありがとうございます😭本当に励みになります、嬉しいです。この先も楽しんでいただけたら幸いです！ (4月3日 2時) (レス) id: 8d863670a1 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 書き方がすごく好みです❤︎これからも楽しみにしています！ (4月3日 2時) (レス) @page25 id: ff02d19e18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月25日 3時
