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HS「おれさ。ステージの上でAの歌を聴きながら死ねたら、めちゃくちゃ幸せかも」
やけに頬が緩むのを感じていた。
何度想像しても温かい気持ちに溢れて、花が降るように綺麗なんだろうと心から思う。
べつに死にたいわけではないけど、むしろ心は永く生きていたいと願っているけど。もし最期が訪れるとしたら、きっとそれがいいと思った。天国へ行けそうだから。
明るい瞳は伏せられたまま、その視線が彷徨うことは二度となかった。結局、話の意図も何もよくわからないまま、心の内を仕舞われてしまったような気がする。
「…虎に食われて？」
HS「虎に食われるようなステージって何？」
「サーカスみたいなものじゃない」
HS「急に適当じゃん」
「もともと真剣な話なんかここにないよ」
全部嘘なんだから。
嘘か本当かわからないそんな言葉が聞こえた瞬間、机上に広げられていたノートが、Aの手によってぱたりと音を立てて閉じられる。
今までのすべてに終わりを告げるように、線引きをするように、はっきりと音が響いた。
その横顔は相変わらず綺麗に佇んでいるのに、どこか不安の色が消えないような気がするのはなぜだろうか。
瞳はまっすぐに捉えているのに。ノートを掴む指先に、躊躇なんて無かったというのに。
白む頬に手を伸ばして、両手で輪郭を捉えたあと、ぐっと此方に顔を向かせてみた。
無抵抗に首を回したその顔は、不思議そうに視線を投げかけて見上げているだけ。
HS「書いてよ。おれもAが作った歌、聴きたい」
「…」
Aは何も言わなかった。
頬を両手で捕まえたまま、少しの間見つめ合う。
かと思えば。交わっていた視線がふと自分を外れた先、宙を彷徨う榛色の瞳が、自分の背後にある扉に辿り着いたことに気づくのだった。
HS「A」
「…」
HS「今なに考えてるか当ててやろうか」
「…ああ、ばれた？」
抜け出そうと動き出した身体を、咄嗟に腕の中に閉じ込める。
優しくて甘い花の香りに包まれながら、心地良い体温にそっと目を閉じて。
いつの間にかAの耳から外れていたイヤホンから、小さく音楽が漏れ出しているのを静かに耳に残していた。
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をる(プロフ) - Kさん» コメントありがとうございます😭！！拙い文ですが楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです。これからも見守っていただけたらと思います、ありがとうございます🙇 (4月3日 19時) (
レス) id: 8d863670a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - いつも読ませて頂いております！素敵なお話ありがとうございます。無理なさらずこれからも応援しています☺︎ (4月3日 11時) (レス) @page25 id: 64e289b1e8 (このIDを非表示/違反報告)
をる(プロフ) - こころさん» わー！！コメントありがとうございます😭本当に励みになります、嬉しいです。この先も楽しんでいただけたら幸いです！ (4月3日 2時) (レス) id: 8d863670a1 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 書き方がすごく好みです❤︎これからも楽しみにしています！ (4月3日 2時) (レス) @page25 id: ff02d19e18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月25日 3時
