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暴力だの暴言だの、あの子には一番縁のないものなのに。
そんなことは、ずっと近くにいた自分が、誰よりもよくわかっているのに。
無意識のうちに携帯を握る手が強張っていくのを、スンチョリはただ静かに見つめていた。何も言わなかった。
その目に何がどう映っているかなんて、今なら痛いくらいにわかる。
JS「…どうかしてるんじゃないの」
SC「俺もそう思うよ」
悲しげに揺らいだ瞳は、Aがいたはずのベッドを捉えていた。
その目はひどく優しくて、この世の何よりも愛しい何かに触れるようで。
わかりきっていたことだった。
誰も信じない、全部真っ赤な嘘で、きみがそんな人じゃないってことは自分たちが誰よりも知っているんだから。
なのに、どうして。
今、どこで何をしているんだろう。
遠くなる背中を、どうしたら手繰り寄せられるのかを一心に願っていた。
それでも少し、考えてしまう。
もしAが、望んで自ら消えてしまったとしたら。
むしろ今までのすべてが夢のようなもので、本当は最初からこうするつもりだったんだとしたら。
Aのいない世界が、訪れてしまったとしたら？
DK「…ヒョン、」
SC「お前ら支度しろ、マネヒョン来たらすぐ出る」
SG「…ねえ、Aは？」
SC「会いに行くんだよ、今から」
不安そうに揺らぐ優しい声が、言い聞かせるように響いていた。
部屋から出ていくスンチョリの背中が、今までで一番頼りなく見える。それはきっと、自分も同じなんだろうっていうこともわかっていた。
きっと、知らないふりをしていただけなんだと思う。
自分達はきっと、何よりも脆くて弱いんだ。
結局こうしてきみがいなきゃ、息をするのも儘ならない。
おそらく話を聞いていたであろう泣き出しそうなドギョミと、起きたばかりで何も知らないはずのスングァニと。
ああ、この子はきっと泣いてしまうだろうな。
Aの代わりに怒って、Aを想って泣くんだろう。それでも、知らせなくちゃいけないから。
きみのいない、はじめての朝。
今から弟を泣かせる俺の身にもなってよなんて、ここにいないきみにはどうせ聞こえていないんだろうけど。
手にした指輪を、掌に食い込むくらいに強く握った。
絶対に会いに行くから、待っていて。
届かない声を、この手の中に込めて。
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をる(プロフ) - Kさん» コメントありがとうございます😭！！拙い文ですが楽しんでいただけているようで本当に嬉しいです。これからも見守っていただけたらと思います、ありがとうございます🙇 (4月3日 19時) (
レス) id: 8d863670a1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - いつも読ませて頂いております！素敵なお話ありがとうございます。無理なさらずこれからも応援しています☺︎ (4月3日 11時) (レス) @page25 id: 64e289b1e8 (このIDを非表示/違反報告)
をる(プロフ) - こころさん» わー！！コメントありがとうございます😭本当に励みになります、嬉しいです。この先も楽しんでいただけたら幸いです！ (4月3日 2時) (レス) id: 8d863670a1 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 書き方がすごく好みです❤︎これからも楽しみにしています！ (4月3日 2時) (レス) @page25 id: ff02d19e18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月25日 3時
