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言い合いみたいなそれが続くそばで、食べ終えた食器をキッチンのシンクまで運んでいたとき。
ミンギュヒョンはというと、Aの分を皿に盛りつけてあげていたんだろうけど、その容器がやけに大きかったのと、漫画みたいに山なりになったチャーハンが見えたものだから "それ全部は無理じゃない？" って一応声はかけてみた。
それでも案の定、皿に盛る手が止まることはなかったし、結局そのままリビングにちんまりと座り込む本人の目の前に現れてしまったわけなんだけど。
大きな容器に山のように盛られたそれを見たAは、綺麗な瞳を何度か瞬かせて、堪忍したと言うような諦めの視線をミンギュヒョンに投げかけていたところで。
「…あのさ、ミンギュや」
MG「残していいから食べて。半分でいいから」
「いや、半分も無理な気がする」
MG「いいから食べてって」
Aの向かい側に腰を下ろしたミンギュヒョンがスプーンを手に取って、皿の上の大量のチャーハンから一口分掬ったあと、躊躇なくそれがAの口元に運ばれていく。
真一文字に結ばれていた形の良い唇にずいとスプーンを寄せて、口を開けろと言わんばかりに視線を寄越すミンギュヒョンに耐え兼ねたのか、大人しく口を開けてそれを受け入れたAが食事を与えられた雛鳥か何かに見えなくもない。
咀嚼しながら口元や頬が動くのを覗き込んでいたミンギュヒョンの表情が、ゆっくりと緩むのを見た。
目尻がそっと下がっていく。
MG「おいしい？」
「うん」
MG「もっと美味しそうに食べてよ」
「おいしいよ、本当に」
台所から戻ったあと、リビングの隅の方にある小さなソファに腰を下ろした。
黙々と口を動かすAが幼い子どものように見えて、この人はやっぱり歳上らしくないなと改めて感じていた。歳上ぶるようなことをしようともしないし、ましてや弟にこうして世話を焼かれる始末だ。
そうやって二人を眺めていたら、リビングの扉がゆっくりと開いて。
JH「ねえ俺の本どこか知らない？」
VN「これ？」
JH「あーあったあった」
ちょうどソファの上に置いてあった本を掲げて見せたら、扉から顔を出したジョンハニヒョンがそれだと指を差すのが見える。
ついでに、ソファの手すりに掛けられているこのパーカーもヒョンのものだったりしないだろうかと考えていたところに、ミンギュヒョンの大きな声がまたリビングに響き渡った。
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月1日 3時
