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WZ「…じゃあ。一回、その時に死んでたとして」
「うん」
WZ「そこから生まれ変わるとしたら、何になってたと思う」
少しの沈黙。スピーカーから違う音楽が流れ始めた。
適当な冗談が降ってくるだろうと考えていたのに、返事が返ってくるのが遅かったから、案外真剣に考えていたりするのかもしれない。
しばらく答えを待っていたら、さっきよりも穏やかな声が隣から聞こえてきた。
「皆と出会えるなら、何でもいいかな」
WZ「虫とかでも？」
「いいよ。皆に出会えたら、人間じゃなくてもいい」
WZ「虫だとドギョミが泣きそうだけど」
「それはそれで面白いからいいんじゃない」
WZ「おまえ、たまに性格悪いよな」
「冗談だって」
小さく笑う横顔を目の端に映した。
とうに見慣れてしまった短い黒髪がふわりと目にかかる。昔の長い髪の記憶が褪せていくような気がして少し複雑だった。時の流れはこんなにも早くて、残酷でいて、優しくもない。
それでもそうして笑った顔は昔と何も変わっていないから、それだけが救いなんだろうと思い続けてきたものだった。
「でもやっぱり、今と同じ道を進みたいとは思うよ」
WZ「…なんで？」
「ここに来てやっと生き返ったようなものだから。
逆に言えば、ここでしか生きられないし生きたくない」
流れ続ける音楽と、騒がしい足音が遠くに響く。
何となく、ただ何となく、その瞳と目を合わせられないでいた。
天国でも出会いたいくらいだって、やけに優しい声でそう言ったから。
今あの向日葵を目にしたとしたら、きっと何もかも聞きたくなってしまう。きみが抱く昔の何かを、これからを思い描くその先を、知りたくなってしまうから。
その先に自分はいるのかどうか、きっと答えを待ってしまうだろうから。
そう思って、床に転がったペットボトルをただ見つめた。
きみが気づかないように。見透かされたりしないように。
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月1日 3時
