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最近なぜか、よくわからないタイミングで昔の話を投げかけられることが増えたような気がする。練習生の頃なんてひとつもそんな話をしなかったくせに、本当になぜか。
それでも知らないことは多いし、詳しく聞いたところで適当にはぐらかされて終わることは目に見えているから、結局誰もそれを掘り返そうともしなかったけど。
何にしても、Aの口から死ぬとかいう言葉が飛び出してくることは滅多にないはずだった。だからこそ、何も言葉を返せないでいる。
ただ独り言のように並べられたそれを眺めるだけで、自分はどうするべきでどんな言葉を渡せばいいのか、ひとつもわからなかったから。
「いつ死んでもいいっていうか、むしろ一回死んでたんだと思う。多分」
WZ「今ですら死にそうなのに？」
「まあほら、人って何回か死ぬらしいし」
適当に床に転がしたペットボトルが此方を向く。
スングァニの笑い声が響いた。元気な奴らだなんて思う。
ふとその横顔に視線を向けたけど、その瞳が揺らぐことはなかった。今もどこか遠くを見つめたままで、相変わらず綺麗な花のように凛と佇んでそこにいるだけ。
その目の奥に何が映っているのかを自分が知ることは、きっとない。
それが寂しくないわけではないけど、自分がどうこうできる話でもないことを、自分が一番わかっていたつもりだった。
WZ「俺にそんな話されても、大した言葉かけてやれないけど」
「いや、むしろジフニなら聞き流してくれるかなと思っただけだよ。あとはウォヌとか」
WZ「あいつも案外心配性じゃん、おまえのことになると特に」
「そう？」
WZ「そう」
「ジスより大概大丈夫だと思ったんだけど」
WZ「どっちもどっちだろ」
「じゃあジフニで正解だったってことだ」
転げられたペットボトルを見て、それをAが逆さまに立てる。
水がとぷりと音を立ててひとりでに倒れるのを、何となく目で追ってみた。
その間、お互いに何も口に出さない謎の沈黙が流れること約5秒。
二人の間で倒れるペットボトルを、ただただ目で追っていただけ。
WZ「…その信頼はどこから来んの」
「選ばれしものってやつだよ。ジフナ」
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月1日 3時
