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口に含んでいた水を吹き出しそうになって思わず咳き込んだ。
当の本人からは表情ひとつ変えずに大丈夫かと聞かれる。
やけに真剣そうに言うものだから洒落にならないと言おうとしたのに、冗談だよと笑うその顔はあまりに普段通りで調子が狂う。
これは単なる悪い冗談か、そうではない何かか。
信じていいのか悪いのか。どっちにしたって判断材料が少なすぎる。
WZ「…それ、今する話？」
「なんとなく思いついたから」
WZ「ジュニに似てきたんじゃない」
「ああ、たしかに」
躊躇なく肯定するわりに、何とも思っていなさそうな顔だった。ケロッとしているというか。興味が無さそうというか。
こういう部分は特にジュンに似ているなと思う。
突然物事に興味を失うところと、突発的に変な話を投げてくるところと。
気まぐれな猫みたいなものだっていつかのウォヌが呼んでいたあれだ。
既に半分ほど飲み干したペットボトルの蓋を閉めて、縮こまる白玖の隣に徐に腰を下ろした。優しい花の匂いがする。
WZ「そういうAはないの」
「死んだほうがマシだったこと？」
WZ「そう」
「あるよ。かと言ってじゃあ本気で死のうとはならなかったけど」
WZ「なってたらもっと困る」
休憩中だと言うのにスピーカーから音楽を流し、スニョンイとスングァニあたりがふざけて戯れる様子を遠目に眺めていた。
楽しそうなメンバーたちの数メートル先で、なぜか死ぬだの何だの昼間から物騒な会話を交わしている自分たちは一体何なのか。こんな話をわざわざ今するべきかどうか。
たった数メートルの違いなのに、境界線でも引いてあるみたいでかなり違和感があった。これに付き合ってしまう自分自身が、今はもっとわからない。
「でも、正直さ」
WZ「うん」
「多分、こんなこと言うべきじゃないんだろうけど」
少しの間が空いたあと、遠くで鳴る乾いた軽快な音楽の上に静かな声が降ってくる。それが故意的なものかどうかまではわからないけど、じっと動かない視線はそのまま、ただただ声だけが向けられていた。
「ここに来る前は、いつ死んでもいいぐらいに思ってた」
WZ「いつでも？」
「いつでも。それを考えてるその瞬間でも、明後日でも、1ヶ月後でも」
WZ「…なんだそれ」
「大昔の話」
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月1日 3時
