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DN「ヤーこのヒョン、だから "Aの弟ってどんな子かな" とか急に変なこと言い出したんだよ」
DK「いやだって、本人からそう聞いたんだもん…」
MH「他の皆にも聞いた？」
DK「ううん、ミョンホが最初」
ディノにつつかれて不服そうに唇をとがらせたドギョミが、なんだかすごく幼く見えて少し微笑ましかった。
逆に言うと、ドギョミの言うAの弟の話は一度も聞いたことがない。
本人に直接聞いたとかそういうわけではないけど、Aの口からそういう類の話が出ることすらほとんど無かったし、付き合いの長いヒョンたちも皆何も言わなかったから。
そもそもAが家族の話をすること自体珍しかったし、これだけ話に出ないっていうことは、いたとしてもよっぽど仲が悪いか、そもそもいないかのどちらかだとは思った。
結局それがその後者だと思ったのは、いつの日だったかハニヒョンが "Aは一人っ子だから喧嘩が下手なんだよ" なんて話していたのを聞いたことがあったからなんだけど。
そうして言い合う二人を見つめていたら、またぱたりと開いた部屋の扉。
そこから顔を出したのはボノニで、それに気づいた二人は待ち構えていたかのように飛び出して行く。
その背中越しに不思議そうな顔をしたボノニがちらりと覗いて、ここから見るとこれはこれで面白い状況だなとも思う。突然取り囲まれて問い詰められる弟が気の毒じゃない訳ではないけど、ひとまず口を挟まずに眺めておくだけにした。
DN「やー、ボノニヒョン！」
VN「…ん？」
DK「ボノナ、Aって兄弟いるよね？」
VN「？いないよ」
ずいと顔を寄せて問いただす二人に反して、ボノニは淡々と返事を寄越した。突然の質問に驚くことも戸惑うこともなく、吹き抜ける風のようにスパッと一言で。
あまりにもボノニが平然と言ったせいで、それに斬りつけられたように肩を落としたドギョミの背中を後ろで見ていた。
その隣で肩に手を置くディノは多分、面白そうに哀れんだ目を向けているんじゃないかと思う。
DN「ヒョン、これで3対1だよ」
DK「…おかしくない？」
VN「何が？」
MH「Aに弟がいるって聞いたんだって」
VN「弟？」
MH「弟が三人いるって、本人から」
"弟" という単語に聞き慣れなかったのか、ボノニは自分が発した言葉に不思議そうに目を丸くさせた。頭を抱えるドギョミの背中越しに、ぱちぱちと何度か瞬く大きな瞳と目が合う。
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月1日 3時
