毎日きみを夢にみる｜2015｜WN. ページ22
セカンドミニアルバム［BOYS BE］。
初めて恋を知って、愛を成していく過程で、名も無いそれが少しずつ一人の少年へと変わっていくような、淡い青春を描く物語。
そうしてタイトル曲となった"만세"という曲のミュージックビデオ撮影は、学生というコンセプトに沿って制服姿で行うことになった。
長時間にわたって行われるこの撮影において、いつ見てもAは一際輝いていたなと今になっても改めて思う。
もうすぐ個人撮影であろうAの後ろ姿と、指示を出す監督の声に耳を傾けながらぼんやりと考える。
この人の体力は底が見えない。
というのも、練習生の頃からどんな瞬間も疲れた素振りを見せることがほとんどなかったから。
誰しもがもう無理だと汗に塗れて床にへばりついていたときも、振り入れがなかなか終わらなくて眠れないまま夜が明けたときも、ずっとそうだ。
何をしようと、どれだけ時間が経とうと、その数時間前と少しも姿が変わることはない。何なら汗もあんまりかかないせいで、そのたびに "あいつはおかしい" ってスンチョリヒョンが険しい顔で言うのも何度も見てきた。
撮影を始めてからかなり時間が経った今だって、椅子に深く腰を下ろして水を飲みながら、ぼーっと遠くを見つめるシュアヒョンと自分と姿勢のいいAとを見比べてしまえば、その差は一目瞭然だと言えよう。
制服のブレザーを羽織ったその背中はいつだって正されていて、身丈によく合ったまっさらなパンツが長い足とともにまっすぐに伸びている。
突然短く整えられたあの黒髪には驚きもしたけど、あれはあれでよく似合っている、というかむしろしっくり来すぎて不思議だったくらいだ。
綺麗な瞳がよく見えるし、何よりあの顔立ちがより青年らしさを際立たせているようにも思う。本当に、不思議なほどに。
あんなのが学校にいたらどうなることやら、なんて話を右隣に座るシュアヒョンと交わしていたその時。
MG「ねえ、すごいよ。ジョンハニヒョンがずっと見てる」
どこからか突如降ってきた声。
顔を上げると、興味津々といった様子で立つミンギュの顔が幾分か自分より高い位置にあった。此方を見下ろした状態で、あそこ見て、なんて指を差す先を見やると、惚けたような顔でひたすら何かを目で追うジョンハニヒョンが見える。
Aの短い髪とは対照的に、長い髪がさらりと揺らぐ。
それを見て、ああ、と思ったのはシュアヒョンもきっと同じだったと思う。
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作者名：をる | 作成日時：2024年3月1日 3時
