凪いだ水面 ページ5
「おーいどうしたー？お前がテンション下げんなよー」
スガに背中を叩かれる。痛てぇと反論する気もなくただ為されるがままだった。
下げられたショック、大地の喪失感、焦り。色んなものがごちゃ混ぜになって、思考が止まっていた。ただ呼吸だけが速くなっていって、冷や汗が首筋を伝った。
「叶多？……叶多っ！息整えろって！」
『っ、…！……スガ……』
「なんだよ……そんなパニックになる事でもないべ？確かに大地が居ないハンデはデカいけど……大地が居なきゃ勝てないチームか？大地が居なくなったらお前は何も出来ない？」
『……！』
ハッとして、コート内に視線をやった。丁度夕がレシーブして、飛雄から翔陽への速攻の場面だった。翔陽は嬉しそうに跳んで、飛雄は相変わらず冷静で、夕は一段と気合い入ってて……
『……っ』
バチンッ
思いっきり頬を両手で叩いた。
『ふぅ…………、悪ぃ。取り乱した』
笑ったスガを背に、烏養さんの所へ足を進めた。赤い頬に驚かれたが、俺の顔を見てすぐさま顔を変えた。
「落ち着いたな」
『ッス』
「次のローテで西谷と代われ。頼むぞ」
肩に手を置いて男らしく笑った。それに対して俺は、烏養さんの期待通りの返事を口にした。
『任せろ！』
翔陽の速攻で一点取ってローテが回った時。
「大丈夫っすか叶多さん！」
『おう！きっちり働いてやらぁ！』
「取り乱したと思ったんだけど……流石3年、もう調整してきた」
「ここにきてあのデカブツか。前衛出したくねー」
バックレフト。ブロックには参加出来ねぇが、サーブレシーブとディグは大地よりリーチあっからカバー出来んだろ。それに……
『飛雄』
「はい」
『やろうぜ』
「いつもの位置で良いですね？」
『ちょい高めでやってみっか』
俺は隣の縁下に目をやる。サーブが来る訳でもねぇのに、その握った手は震えていた。険しい顔で、向かいコートの一点を見つめている。
人の事言えたタチじゃねぇが、俺はその背中に手を置いた。
「！」
『誰もお前に大地の代わり務めろなんて言ってねぇよ。力、お前はお前にやれる事を全力でやれ』
「……はい」
同じ、逃げた者同士。何となくこいつの劣等感は分かる気がした。
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すみた先生(プロフ) - さやさん» ありがとうございます！ひとまず春高予選は終わりそうなので(遅い)ほっとしています。映画のこともあって衝動書きになるかもですが、これからもこの作品をよろしくお願いします！！ (3月7日 23時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
さや - めっちゃ面白いです！続き待ってます！ (3月7日 17時) (レス) id: 6a6eda54e2 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 雨迷さん» ありがとうございます！できるだけ早く更新したいものです…… (2022年7月25日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
雨迷(プロフ) - この作品大好きです！！ (2022年7月25日 14時) (レス) id: 8156def024 (このIDを非表示/違反報告)
YamiyoYukari(プロフ) - ！！！！！ありがとうございます！！！無理のない程度に更新頑張ってください！！！続きたのしみです！！ (2022年3月23日 23時) (レス) id: 1da2943778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年1月28日 17時
