ホントノコト｡ Ⅱ (ページ10)

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『 … ばか』

・

・

私だけ照れてる､

というこの状況が悔しくて

一瞬離れた佑亮の腕を引っ張って

もう一度だけ口づけをして｡

・

・

「 … Aからやるとか､

聞いてない」

そう言った彼の顔は赤くて､

少しの優越感に浸る｡

『私も､

キスされるとか聞いてないから』

「だってジンクスかなんかのこと

言ったのはAだし … 」

『したいとは言ってない』

「したかったの？」

『馬鹿なの？』

「あーっ！！

さっき言った

ばかの方が可愛かった！」

騒ぎながら私の隣に座る｡

『知らないよそんなの』

「さっきまで照れてたくせに～」

私をからかう声が､

やけに余裕そう｡

・

・

試しに､

拗ねた表情を出してみた｡

・

・

「拗ねてる？」

『どうだろうね』

「拗ねてるね～！！」

『 … うるさい』

少し睨みつけるも､

こいつには敵わない｡

・

・

「顔真っ赤なまま睨みつけるのは反則､」

『え？』

「 … 可愛い､から」

ああ､また主導権を握られた｡

ペース狂うんだよね､

腕の中にすっぽり収まっちゃったけど｡