May peace be with you. 2【特撮】

背中：火野映司 ページ1

呼吸が出来ない。
精一杯走っているのに逃げれない。
脇腹が、肺が、足が、全て痛い。

このグリードはカザリが作り出したから足が速いんだ。
ガメルが作り出したのなら遅かったのかもしれない。

あそこを右に曲がろう。あの道は複雑だからよく通ってないと迷ってしまう。


あと少し。走れ。



「わっ、！！」



視線を下にズラせば、血で滲む膝が見える。

後ろを向けば刃物の様な爪が光って見える。
振り切る前に避けないと。



「いっ、＿＿！」



いたい。

あつい。

えいじくん。えいじくん。

はやくきて。たすけて。



「えいじ、くん。たすけて」
「Aちゃん！！」



A、私の名前だ。
映司くんの声で呼ばれてる。


暖かいな。大好きな匂いがする。



「っ、あ、えいじくん…？」
「大丈夫？助けに来たよ」



映司くんだ。


「Aちゃん。その怪我、まさかアイツが？」
「う、ん」
「……そっか。頑張ったね、痛かったよね。
ごめんね、もっと早く来れなくて」
「ううん、助けに来てくれただけでも嬉しいよ」
「ここからは絶対に守るから」



あぁ、なんてかっこいいんだろうか。

抱き締められて感じる温もり。鼓膜に響く声。触れ合う肌。その全てが心地良い。



「アンク、Aちゃんの事頼んだ」
「早く終わらせろよ」



私をアンクに引渡し、敵の方へ向かう。


その背中が頼もしくて笑ってしまうのは仕方ない事かもしれない。

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