May peace be with you.【特撮】

欲しい：浅倉威[リクエスト] ページ40

私はライダーだ。
自分が望む物の為に戦って勝たなくてはいけない。非情になり、誰かを殺す。



「おいA、戦おうぜ」



散歩をしていると浅倉が現れ、戦いの誘いをしてきた。

私の答えは1つしかない。



「勿論」



近くにあった廃墟の窓にデッキを翳すとVバックルが装着される。



「変身」



変身を果たし、鏡の世界へ入る。
この瞬間は何時も生き残れる様に願う。

浅倉と剣を交わせ、ぶつかり合う金属音は非現実的でどれ程聞いても慣れない。



「お前の望みはなんだ」
「……私だけを愛してくれる人を探している。暴力を振るわず、優しく接してくれる人を」



こんな望み馬鹿だと言われるかもしれない。
だが、両親から愛を貰えなかった私は愛というモノが欲しい。
普通の人が貰えている『それ』が欲しくて堪らない。



「そんなモノ、俺がくれてやる」
「お前から貰っても嬉しくない」



こいつは人を「イライラするから」という理由で殺す最低な人間だ。

そんな奴に愛を貰っても意味が無い。



「俺がお前を堕とせばいいのか？」
「…は？」
「好きな女にだったら優しくしてやる。喰う時もな」



可笑しな事を言う浅倉に気を取られていた為、ベノスネーカーが近付いているのに気が付かなかった。

いとも簡単に囲まれ、逃げられなくなる。



「これからは俺の愛をやる。他の男なんて見れない程にな」



それだけ言うと、元の世界に帰って行った。
いつの間にかベノスネーカーも居なくなっている。

1人になった私はその場にしゃがみこむ。



「……ときめいてるとか、有り得ない……」



その言葉をキッカケに鼓動は早くなり、顔は熱くなる。
浅倉の愛が欲しいなんてそんなの、有り得ない。絶対に有り得ない事なのだ。

でも、少し。本当に少しだけ。


欲しい。

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