王子様と恋愛するのは難しい。 (ページ8)

今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:1,966 hit

8 ページ8

3人で和やかな空気になったところで、階段の下の方から声がした。

「A、いるのか？」

この篭ったような低い声は蓮二くんだとすぐに分かる。

私は「いるよー」と返事をした。

「あっ、柳生。黙らせんと。」

「おや、そうでしたね。Aさん。」

「さっき言うたこと、参謀には黙っててくれんか。」

「Aさんの話を良くする、というものです。」

2人は優しく笑いながら口止めをしてきた。

同じような仕草で、口元に「しーっ」と人差し指を当てる。私も真似をして「分かったよ。」と笑った。

蓮二くんに嫌われていないという事が分かったところで、ようやくちゃんと顔を見て話せる。

「蓮二くんおはよう。」

「柳くんおはようございます。」

「おはよぉさん。」

3人で階段を降りると彼は淡々と答えた。

「おはよう。仁王と柳生もいたのか。」

「うん、少し話してて。」

「珍しいな。」

「ちょっと仲良くなったんだよ。」

同意して欲しくて仁王と柳生くんに視線を向けると、2人はギョッとした表情をした。

何故か顔面蒼白で汗もダラダラと出ている。

何かまずい事でも言っただろうか。

「それは良かったな。
友人と仲良くしてくれて俺も嬉しい。」

「うん！じゃあまたね。」

「ぅえ？！」

「ピヨ？！」

さらに驚く2人をスルーして私は教室へと向かった。

あぁ、蓮二くんと別れなくていいんだ。