王子様と恋愛するのは難しい。 (ページ15)

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今日はテニス部の見学に来ていた。

蓮二くんに会うためでもあるが、それは建前。
これも作戦のひとつなのだ。

まず、蓮二くんと一緒に帰る。
そして柳生くん達が介入。
「家まで送りますから、柳くんは先に帰ってください。」と伝える。

流石の彼も「なんで？」となるに違いない。

意気込みながらテニスのボールを目で追う。

ラケットに当たる音が気持ちよく聞こえた。

奥のコートにいる幸村くんも声を張って、後輩に指導する様子が見える。

3年生はまもなく引退。

立つ鳥跡を濁さず、ということわざを意識したかのように未練なく教えているのだろう。

「赤也、真面目にやらんか！」

目の前のコートで真田くんが怒鳴った。

ネット越しのコートの真ん中で佇む子に向かって喝を飛ばす。

かなり拗ねた様子の2年生は確か切原赤也くんだったけ。
夏の大会で蓮二くんが育成方法で悩んでいた子だ。

あの様子から察するに、怒られるのは日常茶飯事なんだと分かった。

「俺はいつだって……、真面目っすよ！！」

甲高く声が響くと共にサーブボールが高く上がる。

綺麗なフォームだ。

「え、うそ…！」

ボールはすごい勢いに乗って、フェンスを突き破った。

そしてそれが私の顔に直撃。

「A！！！！」

突き破ることって…ある…？

血の味を口いっぱいに感じる。

激痛とともに私は意識を手放した。