柳蓮二 1 ページ1
私はA。
立海大附属中学校に通う15歳。
至って普通の乙女だ。
今はフェンス越しにテニス部の練習風景を眺めている。
声を出して部員の士気を上げていくのは副部長の真田弦一郎くん。相変わらず清々しい指導力である。
風紀員の仕事にも手を抜かない真面目な子。
その隣でノートを片手に後輩にアドバイスしているのは柳蓮二くん。一応私の彼氏だ。
なぜ「一応」と付けるのかと言うと、本当に付き合っているのか分からない関係だから。
数ヶ月前。
想いを寄せて告白した。
まさか承諾してくれるなんて思わなかった。
計算高い女性が好みだと風の噂で聞いていたから、当たって砕けるつもりで言ったのだ。
だからだろうか。
彼からのアクションが一切無いのは。
映画に行こうと誘ったのも私だし、
お昼を食べようと誘ったのも私からだ。
聞かないとカレカノらしい行動を取れないのは、私のことを彼女として見ていないと予測する。
今日は部活で頑張る姿を目に焼き付けようと見学しているが、考えすぎて何だか悲しくなってきた。
部活とは言え、一瞬でもいいからこっちを見て欲しかった。
「…帰ろ。」
蓮二くんの考えていることが分からない。
ため息をついて私は帰路に着いた。
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作者名:さたらま | 作成日時:2022年2月4日 2時