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自室へ戻ると、思いもよらぬ人物がそこにはいた。
「な、何してるの?ここ私の部屋なんだけど・・・?」
「それは知ってる。知った上でここにいるのだ。」
「意味が分からないんだけど。それで私に何か用?“久々知兵助”君。」
そう、私の部屋にいたのは今日の朝、池田君に手裏剣を打ってきた久々知君だった。
「その・・・悪かった・・・」
「何が?」
「今日の朝、池田に手裏剣を打ったことと、お前に怪我をさせてしまったこと・・・」
「別に私のことはいいよ。そんな酷い怪我じゃなかったし。それより池田君には謝ったの?」
「うっ、それは・・・」
「謝ってないんだ。」
「・・・池田とはもう随分話をしていないんだ。」
「それはどうして?」
「もう察しがついているとは思うが、前の天女のせいで色々あってさ・・・話、聞いてくれるか?」
「もちろん。」
すると久々知君はポツポツと話し始めた。
「池田とは委員会が同じで、仲は良かったと思う。少なくとも今みたいに池田なんて呼び方じゃなくて、三郎次って呼んでた。俺は天女が来てから、おかしくなってしまった。天女にずっとそばにいろと言われて、委員会も授業も行かなくなった。頭では駄目だって分かっていたんだけど、体が言うことを聞かなくてさ・・・ある日そんな俺のところに池田がやって来て、委員会に来てほしいと言ってきたんだ。もちろん俺は行こうとした。だけどやっぱり体は動かなくて・・・その光景を見ていた天女が俺に言ってきたんだ。池田を殺せって。俺は天女の声を聞いた瞬間、池田に苦無を向けていた。そしてその苦無で池田の腹を刺してしまったんだ。幸いなことに土井先生が通りかかって、池田は一命を取り留めた。池田が助かったのは土井先生の適切な判断のおかげだ。それで天女が天に還った後、何度も池田に謝ろうとした。だけど池田は俺が言葉を発する前に逃げてしまう。俺がしたことは最低だ。それでもやっぱり、池田とまた前みたいに話したいんだよ。不知火、俺はどうしたらいいと思う?」
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時