恋に落ちる音。【ＳＳ】 (ページ9)

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「え？明後日？」

潤の瞳が大きく見開かれる。

「いやいや、翔くん？その日は山本さんと一緒に、」

「知るか。普段から散々尻拭いしてやってんだから一日ぐらいいいだろ」

「････そんなに会いたいの？」

Aって人に。

冷静にそう聞かれて、思わず俺は黙り込んだ。

こいつ、妙に勘が鋭いから下手なこと言えないんだよな。

「･･･もしかして好きなの？」

「････････」

「沈黙は肯定って取るけど？」

「････うっせ」

「ええ！？本当に！？」

何でどいつもこいつも俺に好きな女がいるって分かったら驚くんだよ。

そんなに意外か？

････いや、今までの女への対応を考えたらそれが普通か。

「いつから？」

「･･････二年前」

「そんな前から！？嘘！？全然気付かなかった････」

「一切話題に出してないんだからそりゃな」

それから俺はしばらく潤からの質問攻めにあった。

最後には「翔くんの初恋だな！」なんて目を輝かせて言ってきた。

･･････まぁ、それは認めてもいいかな。

俺の初恋。

.

.

.

次の日、俺と潤は突然課長に呼び出された。

「櫻井、松本。ちょっと頼みがあるんだが････」

「はい。なんでしょう？」

「今から人事部へ様子を見に行ってほしい」

「人事部･･･ですか」

頬を緩ませないようにきゅっと唇を結ぶ。

まさか明日会うはずが今日会えるとは。

嬉しさのあまり、課長には見えないよう小さくガッツポーズする。

課長的には、「エリートを送って嫌がらせしてやろう」って魂胆なんだろうけど、
今回はその意地汚い根性に感謝するか。

「早く行くぞ、潤」

「どんだけ会いたいんだよ････」

そんな潤の言葉は無視した。

「すみません、営業部の者ですが」

営業部、という単語に女は顔をしかめたが、俺の顔を見るなり頬を赤く染めた。

はは、単純な奴。

そのまま俺達は相葉くん達に近付いて行った。

隣に座っている女は、パソコンと睨み合っている様子だった。

････････大沢A、だよな？

柄にもなく声をかけるのに戸惑う。

ドキドキしながら後ろに立つと。

『ねぇ二宮くん、さっき渡した資料一旦返してくれない？』

「はぁ？」

思わず低い声が出た。

はぁ？どうやったらニノと間違えんだよ。

いや、そりゃ俺が来てるとは思わないだろうけど。

それにしても腹が立つ。