恋に落ちる音。【ＳＳ】 (ページ7)

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俺が彼女の名前を知ったのは、その数日後だった。

「大沢Aちゃんと大野智くん！美男美女でしょ？」

「どっちも先輩なんだけど、Aさんのほうはもはや後輩って感じするよねぇ」

スマホの画面を向けられ、二人は俺に構うことなく潤に何か話している。

････これって。

この人って。

「･･････大沢、A･････」

やっと見つけた。

やっと。

「どうしたの？まさか････Aさんに惚れたとか？」

ニノの一言に、ざわつく二人。
いちいち騒ぐのやめろ。

「ばっ、ちげぇよ！ただ･･･知ってる人だなって思っただけ」

「え？翔ちゃん、Aちゃんのこと知ってるの？」

「まぁ、会ったことあるし････」

「ええっ！？いつ！？」

「････････何か月か前」

どうやって！？なんてはしゃぐ相葉くんを無視し、ニノが俺を見て笑った。

「まぁ、止めといたほうがいいと思うよ？Aさんには凶暴な番犬がついてるから」

「番犬？なんだそれ」

まさか彼氏でもいんのか？

そう思って聞いてみるけど。

「彼氏じゃないよ。でもある意味彼氏より厄介かもね」

「はぁ？どういうことだよ」

「この大野智って人、Aさんの幼馴染なんだけどさ」

ニノが彼女の隣に写っている男を指す。

大野智････へぇ、普通にイケメンじゃん。

いや、俺のほうがイケメンだって自信あるけどな。

にしてもこの二人、距離近くないか？

いくら幼馴染だからってこの距離感は普通におかしいだろ。

「大ちゃんは元々過保護気味だったんだけど、Aさんの元カレが相当クズだったみたいで、それから余計過保護になっちゃったみたい。もはや依存してんじゃないかってくらいだね」

「依存････」

「あ、そうそう！二人って本当に仲良くてね！人事部では夫婦って呼ばれてるんだよ！」

「････････」

俺が少し表情を曇らせたことに気付いたのか、ニノがメニュー表で
相葉くんの頭を叩いた。

････別に気にしてねぇし。ただの幼馴染なんだろ。

それに依存してるみたいって言ってたし。

“俺達、お互いに「執着」してるだけなんだって”

もしかして、彼女も？

･･････いやいや。そう何人も俺の周りにいないだろ。

距離感がちょっとおかしくなってるだけだよな。

「･･･････夫婦、ね」

上等。

どんな手を使ってでも惚れさせてやる。