恋に落ちる音。【ＳＳ】 (ページ44)

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うるさく鳴る心臓を抑え、インターホンをゆっくり押す。

････出てこない。なんでだよ。
まさかいないとか？

少し焦りながらも何度か押すとしばらくして扉が開けられた。

『は～･････い････』

「おっせぇ。何回押したと思ってんだよ」

････違う。おい、何言ってんだ俺。

ここで文句言ってどうする！本当なら謝るつもりだったのに！

･･･Aのパジャマ姿が可愛くてそれどころじゃないけど。

「髪ボッサボサじゃん。寝起き？」

笑いながらAの髪を梳く。

相変わらず彼女はポカンとしている。

『どうして･････』

「空いてる日あるかって聞いてきたのはそっちだろ。明日は先約があるし、話すなら今日しかねぇの」

『でも私、』

「いいから着替えてこいよ。ちゃんと待ってるから」

『･･････うん』

Aは困惑したような顔をしながら家の中に戻って行った。

･･･今更かもしれないけど、俺の恰好変じゃないよな？

いつもなら潤かニノが「その服はちょっと････」つってダメ出ししてくれるんだけど･･･。

急いでたせいで聞くの忘れた････。

スマホで自分の恰好を改めて確認する。

流石にこんな大事な日にダサいとか思われたくねぇ。

そうやって悩んでいる間にAが遠慮気味にドアを開けた。

･･････可愛い。可愛すぎる。

嘘だろ、こんなの他の男が見たら確実に惚れる。

これ潤が聞いたら「翔くんが馬鹿になった！！」って騒ぐんだろうな。

「似合ってんじゃん。可愛い」

素直に感想を述べれば、Aの顔は一気に真っ赤になった。

いつもみたいにからかいたいけど嫌われたらおしまいだ、我慢我慢。

.

.

思ってたより会話は普通にできた。

できるだけぎこちない空気にならないように話を振ってたけど、成功してるみたいだ。
流石俺。

･･･と、Aがチラチラとコートのポケットに突っ込まれている俺の手を見ている。

もしかして、映画の時みたいに手握られないか心配してんのか？

信用ないな俺。まぁ前科があるから仕方ない。

「先に言っとく」

『？何？』

「今日は絶対に手出さない。約束する」

『････キスとか、そういうの？』

「付き合ってもないのにそういうことすんの嫌なんだろ」

これ以上Aを傷付けたりしたくない。

俺の素直な気持ちだった。

Aは何か言いたそうだったけど、すぐにきゅっと口を結んだ。