恋に落ちる音。【ＳＳ】 (ページ26)

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「翔くん、生きてる？」

冗談交じりに缶コーヒーを渡してきた潤。

生きてるわ。なんとかな。

結局、俺が断り続けたおかげか社長令嬢は渋々引き下がってくれた。

どんだけ諦め悪いんだよ。

あんだけ頑張ったの初めてかもしれない。

「････ん？」

と、潤がきょろきょろする。

「どうした？」

「いや････いつも翔くんにくっついてる女がいないなと思って」

「はぁ？どれ？」

「どれって、新人の」

「あー････」

なんとなく思い出して頷く。

何で課長も俺に教育係とか任せるかなぁ。しかも女。

男だったらまだやる気出たのに。

「仕事できないし、うるさいし、香水臭いし。一つくらい良いとこないのかね」

「可愛い顔してんじゃん」

「好みじゃないしもっと言えばAのほうが可愛い」

「翔くんが馬鹿になってる･････」

「うっせぇ」

･･･なんかAの話してたら会いたくなってきたな。

仕事も終わってるし、新人探さなきゃなんねーし････

人事部行くか。

私情だよ悪かったな！！

.

.

「大野さんも櫻井さんも可哀想です」

ねっとりとした声が廊下に響く。

この声は････新人か？

俺と智くんの話題出してるけど、相手誰だ？

『えっと････どういうこと？どうして智と櫻井くんが可哀想なの？』

「！！」

この声･･･間違いない、Aだ。

ということは、うちの新人がAに絡んでいると。

しかも俺と智くんのことで？？

ふざけんな潰すぞ。

まぁ、叩かれてるわけでもないから出るのはもう少し後にするか。

「とぼけないでください！私聞いたんです！」

新人はそう叫ぶとAの昼休憩の時の話をし出した。

へぇ、そんなこと話してたのか。

「櫻井さんにアプローチされて、調子に乗ってるようにしか思えません。大野さんの事もキープしてるんでしょう？」

『？櫻井くんのこと好きなの？ならアタックすればいいじゃない。お似合いだと思うよ？』

「嫌味ですか！」

「ぶふっ！」

吹き出してから慌てて口を押さえる。

あいつ天才かよ。笑うだろこんなん。

ただ新人に俺を押し付けるな。それだけはやめろ。