〜２５〜 ページ25
「マジであり得ねぇ！！！」
と叫びたい気持ちをぐっと堪えて頭を押さえる。
あの初デート(？)は上手くいった。むしろ完璧だった。
Aも楽しそうだったし、俺も楽しかったし。
映画の後の食事だって何の問題もなかった。
なのに！
“「そういやさぁ、映画のヒロインは幼馴染を振って好きな男を選んでたけど、Aならどっち選ぶ？」
「え？うーん、やっぱり幼馴染かなー」”
って！！
マジであり得ねぇ････普通そっち答えるか？
いや、そりゃ「まぁ今のところは俺じゃなくて智くん選ぶんだろうけど」とか思ってたけど！
それにしてもない。あの回答はない！
････まぁ、それでも冷めるとか諦めるって選択肢がない以上、俺も相当やられてるな。
「あっ、櫻井さん！」
「え？」
突然何かに抱き着かれる感覚がして、現実に戻る。
慌てて振り返ると、そこには見たことのあるようなないような、よく分からん女がいた。
誰だこいつ？
少なくとも、営業部にこんな痴女いなかったと思うけど。
「あのー･･･」
「櫻井翔さんっていうんですね！私、玲子っていいます！」
「玲子･･･？」
その名前を聞いて、しばらく考え込む。
そういや、聞いたことあるような････？
「･･････もしかして、社長の娘の････」
「はいっ、そうです！」
あー、はいはい。たった今思い出した。
そういえばこの前ぶつかった女いたな。
あの時「あれ社長令嬢だぞ」って教えられたけど興味ないから忘れてたわ。
「どうも。それより離れていただけますか？仕事中ですので」
いつもの営業スマイルでやんわりと腕を離そうとするが、社長令嬢は頬を膨らませながら
更に抱き着いてきた。
「もうほとんど終わってるじゃないですかぁ。それより私と食事しませんか？今度の日曜日！」
うっぜぇ。だから仕事中だっつってんだろ。
ほとんど終わってたらいいとかそんな軽いもんじゃねぇの。
そもそもお前と食事なんか行きたくない！以上！！
････と言いたいけど、社長令嬢だし･･･。
告げ口されると面倒だから優しく断っとくか。
「すみません、その日は用事があるので･･･」
「じゃあいつ空いてますぅ？」
「しばらくは仕事と私用で忙しいので無理ですね」
「休憩時間は･･･」
「同僚と過ごすので申し訳ないですが無理です」
「あ、じゃあ＿＿＿＿＿＿」
いやいや、ここまで断ってんだから諦めろよ！！
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年5月14日 13時
