恋に落ちる音。【ＳＳ】 (ページ24)

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もう一度「なに？」と問うとAは少し目を逸らしてやっと口を開いた。

『･･･櫻井くんが退屈していないか不安になって』

「別にそんなの気にしなくていい。退屈になりそうだなって思ったら、そもそも今日来てない」

『そっか』

嬉しそうにはにかむA。

いやいや、可愛すぎだろ。

あれか？相葉くんに頼まれて仕方なく来たんだろうなとか思ってたのか？

そこまで暇じゃねぇっつーの。

けど、気にしてくれてたことは普通に嬉しい。

俺はしっかりAの左手を握った。

その瞬間、肩を上げるA。

『っち、ちょっと櫻井くん！？』

「しー」

人差し指を彼女の唇に当て「映画館では静かに、だろ」と囁くと、更に真っ赤になっていく顔。

はー･･･可愛い。

そんなんだから俺みたいのに付け込まれるんだって。

･･･････ま、何があっても俺以外の男に付け込ませないけどな。

.

.

エンディングが流れ、周りがざわざわとし出した。

繋がれた手はまだ離れない。離さない。

「意外に面白かったなぁ。たまにはこういう王道ものもいいかも」

『････櫻井くん････』

「ん？どうしたの」

消え入りそうな声も、聞き逃さず拾う。

俺と離れようとしてるのか腕を動かすけど、むしろ何かを急かしているように見えてしまっている。

他の奴が見たら完全にそういう状況に見えるだろう。

だから俺はわざと笑って立ち上がった。

「そんなにお腹空いたの？しょうがねぇなぁ。何が食べたい？」

答えは返ってこない。まぁ、返す余裕もないんだろう。

けど、抵抗するのは止めたようだ。

うんうん、素直なのも可愛い。

「いつもそうやって素直なら可愛いのに」

『･････』

「あ、もしかして。「どんなAも可愛いよ」って言った方が良かった？」

『嘘くさいからいい』

「決めつけんなよ～」

これでも本気なんだってば、と手の甲に軽くキスを落とす。

瞬間、ぶわっ、という効果音が付きそうなくらい一瞬で林檎のように真っ赤になる。

『っな、に、して････！！』

「あはっ。顔真っ赤」

『っ～～～～！もう今後絶対に櫻井くんとは出かけないから！』

「ええ？嫌だった？」

『嫌とか以前の問題！付き合ってもないのにそういうことするのは････』

「じゃあ付き合ってよ」

『････嫌だ。付き合わない』

「はぁ？･･･めんどくさ」

さっさと俺に惚れればいいのに。