〜１５〜 ページ15
昼休憩になった途端の俺の行動は早かった。
女達に声をかけられる前に潤を連れ出し、カフェへ向かう。
エレベーターがじれったくて階段で降りる。
とにかく早く会いたかった。
「翔くん･･･早すぎ。そんなに会いたかった？」
「べっ、別に････早いに越したことは無いだろ」
「どんだけ好きなんだよ」
ケラケラと笑う潤を無視し、ニノに連絡する。
何で俺がからかわれてんだよ。潤も潤で楽しそうだし･･･。
しばらくして、四人の姿が見える。
ちゃっかりAの隣にいてる大野さんが気に入らなくて、わざと大きめの声を出す。
･･････子供か俺は。
「おーい、こっち！」
すると店内にいた客のほとんどの視線が四人に向いた。
悲鳴付きで。
まぁ確かに、あの三人ってイケメンだもんな。
人事部はもちろん、営業部でも人気だし。
三人に囲まれているAは明らか嫌そうな顔をしていた。
ああ、女達の視線に嫌気さしてるんだろうな。
そんなことを考えていると、ニノと何か言い合いをしていた彼女が
突然前のめりになってこっちへ来た。
俺は慌ててその体を受け止める。
･･･････やばい、このまま抱きしめたい。
でもそんなことしたら絶対に嫌われるよな。
こみ上げてくる思いを我慢しつつ、俺はそれを誤魔化すように笑った。
「何こけそうになってんの。それでも２４の大人？」
「あっはは！大沢さん、顔真っ赤！」
潤も、彼女の顔を見て笑った。
言われてみれば、確かにすげぇ真っ赤。
････意識してる、って期待してもいいのか？これ。
「もしかして先輩、男慣れしてないんですか？」
そう言うと更に赤くなるA。
好きな子ほどいじめたくなるっていうけど、ようやく分かった気がする。
可愛いよな。分かる。
と、Aの肩に置いていたはずの俺の手は、いつの間にかどけられていた。
「そうなんだよ。みつき、そういう耐性全然なくって。だからあんまりいじめないであげて」
････････大野智。
『お母さん････！』
「誰がお母さんだよ」
何でお前はいつもいつも邪魔してくるんだよ。
やっぱ、Aのことが好きだから？
「･･･あんたさ」
不機嫌なのも隠さず、大野さんに問う。
「こいつのこと、好きなの？」
『･････え？』
年上だとか、先輩だとか、そんなもん知るか。
Aのこと女として見てる奴は誰だって噛みついてやる。
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作者名：みかづち
| 作成日時：2020年5月14日 13時
