8 ページ8
———
ヨンボギの教室の前で待ち合わせをする休日の昼。
連絡を取り合った結果、ナヨンたちと飲み会がある日の日中にヨンボギにレポートを見てもらうことになった。
学部のイベントの諸作業をお互い任されて、その雑用を私たちがそれぞれ引き受けていた。作業を終えた1年生が講義室から出てくるところを眺めていると、金髪の彼が小走りでこっちに向かってくる。
「走ってこなくてもよかったのに」
FL「ヌナと早く課題したくて、」
相変わらず免疫のない私がぐらつくようなセリフを吐き出す彼は色んな意味で恐ろしい。
FL「あとこれ、差し入れです」
一緒に食べましょうといって、甘いお菓子と飲み物をコンビニの袋から出す。
いつものカフェスペースで2人並んでパソコンを開いて早速課題に取り掛かる。
休日の校内は人が少なくて、私たち以外の姿はあまり見えなかった。
ヨンボギにレポートを見てもらいながら、ひたすらタイピングをし続ける。教え方が上手で、なかなかの出来だと思う。
だけど後輩に教えてもらうなんて、ちょっと恥ずかしかったりする。
くだらない会話を交わしながら課題をするのは結構捗って、たまには友達と勉強するのも悪くないなと思う。
ヨンボギは時々眠気に負けてうつらうつらしてたけど、そんな姿と可愛らしく見えた。
FL「ヌナこの後は何かあるんですか？」
パソコンをトートバッグにしまい、ちょうどスマホをつけたタイミングでヨンボギから声がかかる。
「うん、ナヨンたちと飲みに行くんだ」
FL「じゃあ、近くまで送ります、もう暗くなっちゃってるし」
話すと、私が今日行く予定のお店はヨンボギの最寄駅から近い距離らしい。
約束の時間には遅れてしまいそうだけど、きっと私抜きでも上手くやってると思う。
FL「帰りももしあれだったら迎えに行きましょうか？」
「ええ、いいよ」
FL「ヌナは飲み会の場が苦手なのかなって勝手に思ってました」
たった一回の飲み会でそこまで見抜かれていたんだと、思うとなんだか気まずく感じる。
「送ってくれてありがとう、レポートもすごく助かったよ」
FL「いいえ、また機会があれば手伝います」
店が近くなってここでいいと立ち止まり振り返る。
FL「もしあれだったら本当に連絡してくださいね」
その言葉に静かに頷くと、じゃあ、と2人で手を振って背を向け合った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 673人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
🐣 - 24話目がただただ胸がキュッとなって…ピリペンの私には涙の回でしたㅜㅜ引き続き楽しみにしております！ (12月8日 6時) (
レス) @page24 id: ba7c22e5aa (このIDを非表示/違反報告)
名無し68593号(プロフ) - 更新お疲れ様です！本当に好きです登場人物からストーリーまで全部がすごく好きです！これからも応援してます！ (12月6日 19時) (レス) @page23 id: 38145731e9 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - とても読みやすくて何回も読み返してしまいました。こういうお話大好きです！更新楽しみにしてます。 (11月30日 0時) (レス) @page13 id: 62890fab6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：meru | 作成日時：2023年11月28日 10時
