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Felix said
「ごめん、ヨンボギ、待った?」
いつもとは違った真っ黒に染まった髪の毛を耳にかけながら現れるヌナ。
普段よりも白い肌が際立って見えて、さらに頬の赤みが映えている。そんな姿に見惚れていると不思議そうにこっちを見つめ返す。
何も言わない僕の姿により一層申し訳なくなったのか、さらに加えて謝罪をする。
「さっきまで美容室だったの、本当にごめんね」
FL「すごく似合ってます、黒色」
そうかな、と笑うと頼んだアイスコーヒーを飲んでいる。
自分の言った「黒色」という言葉に、違和感と不愉快な気持ちが渦巻く。
ヌナの明るい茶色の髪が黒に変わった。
そうは思いたくないけれど、ヌナの心まで彼に染まり始めてるということなのだろうか。
FL「でも、明るい色ならもっと似合うと思います」
「それはヨンボギだから似合うんだよ、私が金髪にしたら変だよ」
なんとなく反抗心から、僕の色になってくれないかななんて思って、自分の髪の毛を指さして提案してみるけどヌナは「冗談やめてよ」なんて言ってもっと笑う。
黒色は僕からしたらヒョンジニヒョンの色だった。
色の抜けた髪が今ではなんの隙間もなく、隅から隅まで黒に染まるその様子は僕をどきりとさせる。
ナヨンさんの言葉が頭の中に浮かぶ。
ナヨンさんの目的はヌナと関わることの忠告だけではなく、この話をしたことで何度も僕がこの話に支配されて、最後はヌナとの関わりを途絶えさせることだったのかもしれない。
「じゃあ、お店移動しよっか」
カフェでしばらく喋った後、お店を出てここから徒歩圏内の目的地へと移動する。
未だに慣れないその後ろ姿を、もやっとした気持ちで見つめる。
白の夏らしいワンピースに反した真っ黒の髪が太陽に照らされて艶めいている。
いつもよりもお洒落をして来てくれているのか、滅多に見ないそのワンピース姿に夏の暑さが混じって目眩がしそうだ。
「ヨンボギ?どうかしたの?」
僕が今何を考えているのか、全くわかっていなさそうなそんな表情で振り返り、一歩後ろを歩く僕の手を取る。
「私、ここからお店までの行き方調べたんだ」
ついてきて、と慣れたように手を引っ張って歩いて行くこの瞬間で、もう僕の胸はいっぱいいっぱいだ。
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🐣 - 24話目がただただ胸がキュッとなって…ピリペンの私には涙の回でしたㅜㅜ引き続き楽しみにしております! (12月8日 6時) (レス) @page24 id: ba7c22e5aa (このIDを非表示/違反報告)
名無し68593号(プロフ) - 更新お疲れ様です!本当に好きです登場人物からストーリーまで全部がすごく好きです!これからも応援してます! (12月6日 19時) (レス) @page23 id: 38145731e9 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - とても読みやすくて何回も読み返してしまいました。こういうお話大好きです!更新楽しみにしてます。 (11月30日 0時) (レス) @page13 id: 62890fab6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:meru | 作成日時:2023年11月28日 10時