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「ううん。知らない」
ぼーっとその様子を見ているとバチっと視線が交わった。
反射的に逸らしてグラスを持ち上げて、お酒を流し込む。
NY「気をつけな、いろんな女の子が泣かされてるらしいから」
BC「おいナヨン、Aにそんなこと吹き込むなよ〜」
おとなしそうな姿からは想像できないその話を聞きながら、まぁ、整った顔立ちだからモテそうだよなと納得ができる。
もう一度目線を上げると、まだ彼はこちらを見ていて、白い肌に目立つピンクの口元の端を持ち上げて、ニコッと笑った。
女慣れしてそうなその態度が、私は苦手だなと話してもないのにそう思った。
「チャニさん、他の学部はどこの学部なんですか?」
BC「芸術学部だよ、てか、そろっとチャニでよくない?」
NY「Aはそーゆーところちゃんとしてるからいいんだよ!」
広い机を見回す限り、知らない人ばかりで、やっぱり自分はあんまり知り合いがいないんだと自覚する。チャニさんは私の2つ上で最終学年、同じ学部だけど授業が被ることもほぼなかった。
焼酎を1瓶頼んで、蓋を開ける。ナヨンはどこか行っちゃっていつの間にか1人になっていた。ナヨンは外交的だけど、私はそうじゃなくて大人数が苦手だったりする。
FL「こんばんは」
ショットグラスに焼酎を注ぎながら視線を横にずらすと、金髪の顔立ちがはっきりした男の子が横に座っていた。
FL「僕もそれ、もらっていいですか?」
「あ、はい」
FL「僕、イ・ヨンボクです」
彼の持つグラスに注ぎながら突然の自己紹介にまた視線を上げると柔らかい笑顔で私を見ていた。こういうのに免疫がない私は、目が離せなくなった。
「わっ、ごめんなさい、こぼしちゃった」
ショットグラスから溢れたものをティッシュで拭きながら、彼の服が汚れていないかも確認する。
FL「ありがとうございます」
なみなみ注がれたグラスをそのまま持ち上げて、こぼさないように口をつけるその姿を目で追ってしまって、更になぜか恥ずかしさが込み上げた。
「あ、私は」
FL「Aさんですよね、さっきの自己紹介聞いてました」
お酒が回り始めた頭を必死に動かして、どこの誰だか一生懸命思い出す。
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🐣 - 24話目がただただ胸がキュッとなって…ピリペンの私には涙の回でしたㅜㅜ引き続き楽しみにしております! (12月8日 6時) (レス) @page24 id: ba7c22e5aa (このIDを非表示/違反報告)
名無し68593号(プロフ) - 更新お疲れ様です!本当に好きです登場人物からストーリーまで全部がすごく好きです!これからも応援してます! (12月6日 19時) (レス) @page23 id: 38145731e9 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - とても読みやすくて何回も読み返してしまいました。こういうお話大好きです!更新楽しみにしてます。 (11月30日 0時) (レス) @page13 id: 62890fab6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:meru | 作成日時:2023年11月28日 10時