太陽の似合うキミを独り占め (橙) (ページ11)

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口を動かしながらもちゃんと手も動かしていた丸山くんは、私と話出す前からかなり終わっていたようで、直ぐに終わって荷物をまとめ出す。

「全然。丸山くんの見つけたお店楽しみだな」

丸山くんと一緒に職員室を出ると部活動をしていない少しだけ残っていた生徒達がチラホラと居て、私たちに挨拶をして帰っていく。

「気に入ってもらえるかはわからんけど」

パスタのお店やねん。
と、たまに現れる丸山くんの女子力が発揮される。
少しだけ頬を赤くする丸山くんを見て、もしかしたら、丸山くんも私と飲みに行くことが嬉しかったりしてくれているのかな。なんて変な期待をしてしまう。

そんなことを私が考えているなんて1ミリも感じ取っていない丸山くんは、すたすたと靴箱まで歩いていってしまって。

置いていかれないように私も早足で丸山くんを追いかける。
私が靴を履き替えた時にはもう丸山くんは車の鍵を握っていて、思い出したように

「あー、Aちゃん電車やろ？俺今日車で来とるから乗ってって。」

と、私に告げる。
そういうことを平気で出来ちゃうから、女は期待しちゃうんだよ。丸山くんはずるい男だよ。
なんて、言えずにただの同僚として飲みに行く私が一番ずるくて悪い女なのかもしれないけど。

「助手席に女の子乗せるん初めてや」

なんて悪戯に笑う丸山くんを見ると、そんないろんな考えていたことも吹っ飛んでしまって。
あ、オカン乗せたわ。なんて思い出したように呟く丸山くんの独り言をスルーして、動き出す車に身を任せる。

丸山くんの運転は、一言で言えばかなり危なっかしくて。
外の景色を楽しむなんて余裕は正直無かった。

丸山くんがいつもより近くにいる。絶対緊張しちゃう！なんて少しだけ思っていた私の心は、車に乗って3分もすればお願いだから無事に辿り着いて。という願いに変わっていた。

「ごめん、言うてへんかったんやけど俺ペーパーやねん…」

なんてお店に着いてから言われるから、遅いわ。と突っ込んでしまった。
ほんとに可愛くないじゃん私。

丸山くんはそんなことちっとも気にしてなさそうだけど。