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ごめんね、なんて笑って謝と少しだけ、沈黙が私たちを包む。
でも、温まったこの会場の中での沈黙は、全然居心地が悪くなくて。
「Aに会いたかった」
なんて、少しだけ汗が引いてきた忠義が言うから、つい私も。なんて言いそうになって口を噤む。
と、そんな私をみて少しだけ悲しそうに
「俺見て、変わったとか思ってるんやろ」
「うん、正直」
「…なんも変わっとらんよ、俺」
私が答えたら、少しだけ黙って、そんなことを言う彼。
「付き合うとったときから、なんも。」
聞いちゃだめな言葉だって、言わせちゃダメな言葉だってわかってる。
でも、その彼が私に対して抱いてくれてる気持ちは、多分間違いなく私の心にもあるもので。
あれから何回恋をしたって、なにか物足りない気がしてたのは、ずっと忠義が忘れられなかったから。
「アイドルしてても、どんだけ可愛い子見てもAが1番やって」
「私は、そんな忠義を見て、変わっちゃったと思ってずっと泣いてた」
「…だめやなぁ、やっぱ俺、好きな子泣かせてまうなんて」
そんなことを言いながら、彼は私にしっかりと向き合って、
「危険な恋になると思う。巻き込むのは悪いなって思う。でも…やっぱりAをもう離したないねん」
この行動が、自分が積み上げてきたものや信頼してくれてるファンのことをもしかしたら傷付けるかもしれない、なんて知っていながら彼は覚悟してそう告白来てくれた。
「私も、忠義を支えたい。もう離れたくない」
2人で微笑みを交わして、彼が私を抱きしめようとして手を引っこめる。
「俺汗やばいわ今、」
なんて笑いながら、私の頭を撫でる。
「今夜、実家来て」
そこで会お、と手を振って彼はメンバーのまつ部屋へと戻っていく。
私も、忠義のお母さんの元へ戻ると、聞こえとったでぇと冷やかされる。
そんなお母さんに、ふっと微笑んで、
「今日からまた、お世話になります。」
なんて言っちゃう。
今日から始まる大きくて危険な恋が、始まった。
そのまま、大倉家に帰って忠義の帰りを家族のように一緒に待つ。
「忠義、おかえり。」
いろんな意味を含む、その言葉を1番最初に彼に伝えたくて。
-end-
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作者名：さくら | 作成日時：2018年11月20日 18時
