まだ見ぬ地図～短編集～ (ページ42)

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＊ヒーロー(黄) ページ42

※このお話はこの短編集の一番最初のお話し「ここから(黄)」の続編です。
是非、そちらのお話を読んでからこちらを読んでいただけると世界観などが分かって何倍も楽しめると思います。
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あの日以来私はずっと亮と、たまに丸ちゃんと行動するようになって。
私はずっと亮に片思いしたまま進級して、2年生になった。

新しいクラスが掲示されているボードの前には人だかりができていて、一目見ただけでも私が近付くのは不可能だってわかる。

亮も丸ちゃんも、私も理系を選択したから同じクラスになる可能性はあるし、期待してるから早く見たいのに。なんてもどかしい気持ちと戦っていると、後ろから聞きなれた声が聞こえる。

「あ…丸ちゃん、おはよう」

その声の方を向くと丸ちゃんが朝からバッチリふわふわに仕上がった髪を触りながら独り言を言っていたようで。
イケメンなのにモテないのは、イケメンポイントを遥かに上回るヤバいやつポイントが溜まりすぎてるせいで、今の独り言の件もそのポイントが加算されている要因のひとつだってことは本人は気付いてない。

「おはようさん、亮ちゃんまだ来てへんの？」

「うん、亮基本遅いから」

「さすがァ、よう知ってはる」

なんて、茶化してくるから軽く叩くと丸ちゃんが口を尖らせる。
丸ちゃんは前のクラスの表が見たくて仕方が無いように、忙しなく背伸びをしたりしながら前を覗いてて、私が隣にいることなんて気にしてないみたいで。

丸ちゃんが見えたら、教えてもらおう。なんて思ってると、今度は前の方から聞きなれた声がして2人で声の方を見ると、私達が入ることを躊躇っていた人混みの中から私が1年間恋をしている彼が、出てきた。

「ほんまなんやねんコイツら…アホちゃう」

なんて、さっきまで自分もそのひとりだったことを完全に棚に上げてキレる亮は朝から絶好調で。
私たちの姿を確認するとすたすた歩いてきてため息をつく。

「Aもマルも、同じクラスや…」

なんて、落ち込んでみせる態度とは裏腹に声はとても嬉しそうな亮が可愛くて、丸ちゃんと顔を見合わせて笑う。

「なんやねん、お前ら」

なんて悪態をつく亮は足早に私たちの新しいクラスへ向かうから、慌てて丸ちゃんと二人でそのあとを追いかける。