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「…私が、毎日ここからグラウンド眺めてる理由知っとる？」
丸ちゃんは、分からへんよそんなん…とまた少しだけ弱い声を出すけど、その目は私をずっと捉えてて。
改めて顔を見るとすごく綺麗な顔をしていて、ハッとする。
「丸ちゃんを、見るため…て言うたら引く？」
丸ちゃんは、え…？と声を漏らしてポカン、とした表情になる。
私がせっかく告白の返事と言っても過言ではないことを言ったのに、この反応は想像してなかったからこっちまで拍子抜けしてしまう。
「あの…それって」
俺と同じ気持ちって受け取ってええんかな。
なんて、もうわかりきってるくせに、頬を赤くしながら確認してくる様子はやっぱりいつもの丸ちゃんで。
せっかく、さっきまで男らしい顔になっていたのになんでこうもコロコロと表情を変えることが出来るんだろう。
そこが、丸ちゃんのいい所でもあるんだけど…。
「…おん。そういうこと、」
私がそう返すと、丸ちゃんはもっと顔を赤くして、やったぁぁぁ、と誰もいない方の廊下に叫ぶ。
その声は、いつも上から聞いていたグラウンドに響く声で、まさかこんな近くで聞くことが出来る日が来るなんて想像もしてなかったからいろんな意味でびっくりしちゃって。
「あの…やったら、俺と付き合ってもらってもええかな」
なんて、割と最後はあっさりと告白してくれるから私で良かったらお願いします。なんてどこかのドラマで見たような返事をするとぎゅうっと抱きしめられる。
部活の最中で少しだけ汗の匂いと湿った服はあまり心地いいものでは無いけど、今の私にとっていちばん幸せを感じる場所でもあって。
あぁ、やっぱり丸ちゃんは人の心を変な気持ちにさせる魔術師だ。なんて、彼の異名に納得する。
「んふ…ありがとう、練習頑張れる気ぃするわ」
また明日な。なんて手を振って、またドタバタと降りていく丸ちゃんの背中を見送りながら、一緒に下までおりてくれないんだ。なんて思うけどそこもなんだか彼らしくて、笑ってしまう。
ふと、渡り廊下から外を見ると、こっちに向かって大きく手を振る丸ちゃんが見えて、同じように手を振り返す。
-end-
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作者名：さくら | 作成日時：2018年11月20日 18時
