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安田さんのエスコートで車に乗った私達は、そこからドライブデートを楽しむ。
「Aさん、僕めっちゃ行きたいとこあるんですけど、ええですか？」
なんて言うから私に拒否権なんてなくて、頷くと連れていかれたのは映画館。
期間限定のここでしかやってない物語が見たかったらしくて、その柔らかい笑顔を向けられると、2人でいられるならなんでもいいや。なんて思う。
「興味なかったらごめんなぁ？」
なんて言いつつ、ちゃっかりと私のチケットまで買ってくれた安田さん。
私達が上映室に入ったのはどうやらギリギリだったようで、全く人のいない大きな空間に二人きりで、コマーシャルを全く見ずに本編に入った。
映画の内容は、いわゆるラブストーリーで。
お互いに一目惚れした男女がデートをして、その日の最後に想いを伝えあって結ばれる。というハッピーエンドで。
お互いに一目惚れした男女がデートなんてまるで私たちみたいだ。なんて思ったら映画に集中できないくらいに顔が熱くなった。
「ほんま、この映画見れてよかったわぁ」
なんて、見終わったあとに安田さんが呟くから頷いて見れば、彼は少しだけほっとしたように笑った。
「興味無かったとか言われたら…ってちょっと不安やってん」
なんて、包み隠さずに自分の感情を言ってくれる彼にまた惹かれる。
あぁ、このデートを通じて私はどんどん彼のことを好きになって行ってるな。なんて、まるで自分の感情を外から見てるみたいに変に冷静な自分に少しだけ焦りを感じる。
「面白かったです。なんだか…」
私達みたいで、と言おうとした口を閉じる。
こんなこと言ったら、変に幻想を抱いてるみたいで少しダサいな、なんて思ったから。
「僕達みたい、やったもんなぁ？」
そんな私の感情を察したのか、たまたまなのか。
安田さんは私が黙ったあとにそう言って悪戯っぽく笑った。
心做しかその表情は少しだけぎこちなくて、頬が赤くなってて。
照れてるんだ。なんて直感で思う。
「ほんとに…」
あの通りになればいいのに。なんて小さな声で呟くと、安田さんはふっと私を見て、
「聞こえちゃったぁ」
なんて目を細める。
シアタールームには、次の上映のために入ってくるお客さんなんて居なくて、安田さんはそれを確認してから少しだけ私に寄る。
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作者名：さくら | 作成日時：2018年11月20日 18時
