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一体、このひねくれた青年から私は何を要求されるんだろう。
見る感じ女には困ってなさそうだから身体、とかは言われないと思うけど。
「お姉さんの連絡先、教えて」
「…は？」
「いや、なんでもどうぞていうたやん今」
女にも二言は許さへんで。なんて言って早速ケータイを取り出す彼。
正直、私だってこのイケメンに連絡先を聞かれることに関しては悪い気はしない。
でも、それにしてもなんで連絡先を。なんて少しだけ困惑してると、
「今度、焼肉連れてってや」
なんて言う彼。
ケータイを振って入ってきた名前には「大倉忠義」と、強そうな文字が書いてあって。
あぁ、少しだけこの人に感謝したのが間違いだったのかも。なんて思いながらため息をつく。
「お姉さん…あとさ、言いづらいんやけど」
バッグに刺さっとるの、財布やないの。なんて指をさしてくるから慌ててバッグを見るとなんとも今乗せました。みたいに私が探してた財布が居て。
「え、助かった…」
お金やっぱり返します。なんて言うと、ホンマにええから。焼肉の方が食べたいし。なんて言いながら頭を書く大倉さん。
「てか、家近いんやろ。送ってくわ」
乗り、なんて言いながら自分は車に乗り込んでいく彼に、断りの声なんて聞こえないな。と思ってお礼を言って車に乗り込む。
久しぶりに乗る車の助手席は少しだけ緊張して、立っている時は分からなかった大倉さんの少し甘い匂いがふわっと香る。
「その反応は、彼氏おらん感じやな」
なんて私を馬鹿にするように笑うその顔面は少しだけ柔らかくて、さっきまで毒しかなかったのに少しだけお砂糖が入ったみたい。
「よかった」
なんて呟く声が聞こえて、なにがだよ。なんて心で言い返してやる。
そんなこんなしてたら近くにあるおうちには直ぐについて。
もう財布とか無くさんようにな。なんて言いながらハンドルを握ったまま私の方を見てまたふっと笑うから、あぁ。離れたくない。なんて思ってしまう。
「なんやねんその目」
なんも出えへんからはよ降りて。なんて冷たい目を向けてくる彼に、少しだけ頬を膨らませてお礼を言って降りる。
後で、ちゃんとお礼を送ろう。なんて思いながらお家に入る。
この出会いに少しだけ感謝してるから、残業も悪くなかったな、なんて今日だけ、誰もいないくらい部屋に呟いてみる。
-end-
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作者名：さくら | 作成日時：2018年11月20日 18時
