＊アイドルのカノジョ(青) ページ17
私の彼氏はアイドルをやってる。
付き合い始めたのは2年前くらいで、LIVEにも行ったりした。
今日も関ジャニ∞のLIVEに行ってたわけだけど、ドームの中で輝く章大は普段私に見せないようなキラキラしたアイドルスマイルをファンの子たちに向かって振りまいてた。
それがお仕事だってわかっててもやっぱり、そんな笑顔を向けてもらえる女の子達を見たら嫉妬しちゃうのも事実。
色々終わって帰ってくるのはもう次の日で、章大は帰ってきてすぐ寝てしまうから1番早く話せるのはその日の夜で、嫉妬という見苦しい気持ちを抱えたまま、章大が起きるのを待つ。
リビングのカーペットの上に1人で座るのは慣れてるけど、やっぱり寂しい。
「なんで、アイドルなん…」
なんて、呟いても寝室にいる章大に聞こえるわけがないから少しだけそんなことを口に出してしまう。
不思議なもので、言葉にすると心で思うよりも数倍嫉妬が強くなる。
こんな思いを抱えて私はどうすればいいんだろう。
そんなことを考えてると、
「アイドルで、ごめんな」
なんて聞きなれた声が寂しそうに耳元で聞こえる。
首にはあたたかい感触とこの部屋と同じ匂いと少しの重みがあって、すぐに章大だと分かる。
「あ…いや、違うの」
「嫉妬してんのやろ？」
「ちょっとだけ…ね」
かわええな、と頭をくしゃくしゃされて、私は章大の彼女なんだ。なんて久しぶりに実感する。
ファンの子達が羨ましいなんて思う私の心をファンの子達は羨ましいなんて思うのかな、なんて頭の片隅で思う。
「ファンの子達が羨ましく感じちゃう」
「でもあの子達はこんなことされへんよ…」
と呟いて、切ない顔をする暖かい章大から包み込まれる感覚に身を任せる。
その安心感から、本音がつい漏れてしまう。
「あのね、本当は寂しくて会いたくてたまらなかったの」
その言葉を聞いた章大はふっと笑って、抱きしめる力を少しだけ強くして、優しい声で
「俺も、同じ気持ちやったよ…会いたいで会いたいで、はよAに触れたいで堪らんかった…」
なんて囁かれるから、私から章大にキスしてしまう。
もっと、触れてよ。なんて声に出すのは恥ずかしいから、キスで伝える。
「…なんでそんな可愛ええん、A」
そう言って、章大からもキスをしてくれる。
そのキスはだんだんと深く、熱く熱を帯びていく。
「今日は、優しく出来ひんかも」
なんて悪戯っぽく笑いながら、私たちに久しぶりの夜が訪れた。
ｰendｰ
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作者名：さくら | 作成日時：2018年11月20日 18時
