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「あの、な。そいつらよりも俺はほんまにAちゃんのええとこいっぱい言えるし、人よりはAちゃんの気持ちわかると思っとるしいっぱい尽くしてあげられる」
語尾に向かってだんだんと小さくなっていく丸ちゃんの口から生まれていく言葉を聞き漏らさないように耳をすませる。
丸ちゃんの汗の量はさっきと比べ物にならないくらいで、冬とは思えないくらいに額から垂れそうになっていた。
「なにより、俺はAちゃんのこと本気で好きやねん。いっぱいいっぱい幸せにしてやりたいし、笑顔にさせたるってここで約束できるくらいに好きやねん。」
小さくなっていく声に少しだけ力強さが戻って、告白の言葉を伝えられる。
丸ちゃんにそんなふうに思われてたなんて気付かんかったし、ずっといい友達やと思ってたから心の準備ができなくて少しだけ、言葉を発するまでに時間がかかった。
「丸ちゃん…」
「わ、ごめんな。こんな汗もかいてもうてホンマに気持ち悪いよな俺…」
私が名前を呼ぶと、合わせていた目を逸らして俯く丸ちゃん。
普段は明るいのにこうなるとしばらく元の丸ちゃんには戻らない。
そんなこと知ってるのも、私だけだと思う。
「めっちゃ嬉しかった、告白してくれてありがとう」
顔上げて、というといやや。と頑なに拒否してくる丸ちゃん。
その肩は少し震えていて、地面を見ると不自然なシミが出来てる。
それが汗なのか涙なのかなんて今の丸ちゃんを見たら直ぐにわかった。
「私なんか好いてくれてたなんて知らんかったよ」
「だって必死に隠してきたんやもん」
「もっと早く言ってくれたらよかったのに…」
なんて言うと、丸ちゃんが言えへんやん…と拗ねる。
今日振られたやつが言うのもおかしな話だけど、丸ちゃんの告白を聞いてすごく心が動いた。
「私も、丸ちゃんに笑顔にして欲しいし丸ちゃんの笑顔を守りたい」
信じられへんかもしれんけど、と前置きをしてから丸ちゃんの手を握る。
丸ちゃんが驚いて少しだけ顔を上げる。
その顔はやっぱり涙で濡れててぐちゃぐちゃになってて、
「私で良かったら、彼女にしてくれませんか」
なんて言うと、今度は丸ちゃんが声を上げて泣き出した。
＊
2人して、泣き腫らした目をして帰る姿は周りから見たら滑稽かもしれない。
それでも、私たちからしたらすごく意味のあることで。
「ほんまに、絶対幸せにする」
なんて公園で抱きしめられたのも、これからずっと思い出に残っていくんだと思う。
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作者名：さくら | 作成日時：2018年11月20日 18時
